2020 Fiscal Year Research-status Report
肺癌におけるプロレニン受容体の発現と生理機能の解明
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19K17661
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大場 浩史 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (70726710)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロレニン受容体 / 肺癌 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
プロレニン受容体の機能を肺腺癌を中心に解析を進めた。プロレニン受容体の発現を抑制すると、腫瘍細胞の増殖や遊走能が低下することを明らかにした。また、肺腺癌組織においてプロレニン受容体の発現と臨床病理学的因子との関連を解析した結果、染色強度と増殖のマーカーであるKI-67との間に相関がみられた。その背景を調べるために、プロレニン受容体がVーATPaseのサブユニットである点に着目して、オートファジーとの関連を解析した。プロレニン受容体の発現を抑制すると、オートファジー阻害剤であるバフィロマイシンA1と類似した効果が確認できた。これらの結果から、プロレニン受容体がオートファジーを介して、肺腺癌細胞の増殖や遊走能を維持するために必要な因子であることが示唆された。この成果は、Genes to Cells誌で報告した。 また、肺腺癌に対してオートファジー阻害剤を作用させると、可溶型プロレニン受容体の産生が増加することを明らかにした。プロレニン受容体はいくつかのタンパク分解酵素によって切断されるが、肺腺癌では可溶型プロレニン受容体の産生には、site‐1 proteaseが最も寄与しているという結果が得られた。オートファジー阻害剤を添加しても、プロレニン受容体を切断する酵素の発現が変化しなかった。そのため、可溶型プロレニン受容体は、酵素的に切断された後で、その一部がオートファジーで分解されている可能性が考えられた。この研究成果をGenes to Cells誌で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は扁平上皮癌などの他の組織系におけるプロレニン受容体の機能を解析する計画だったが、新型コロナウイルスの影響で移動の制限がかかってしまい、十分な研究時間を確保することが困難なだった。そのため、病理組織の解析を中心に遅延が生じており、研究計画の全体としてやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に進めることができなかった肺癌組織系におけるプロレニン受容体の機能解析を、今年度も引き続き遂行する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で研究が十分に進められなかったため、予算が計画通りの執行とはならなかった。繰り越した予算は、昨年度に実施予定だった実験の経費として使用する予定である。
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