2019 Fiscal Year Research-status Report
CD26/DPP-4を介した難治性呼吸器疾患の新規治療戦略
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19K17663
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川崎 剛 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (20586383)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CD26 / 肺傷害 / ARDS / Dipeptidyl peptidase 4 / 難治性呼吸器疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、難治性呼吸器疾患の一つである急性呼吸窮迫症候群(Acute Respiratory Distress Syndrome: ARDS)におけるCD26/Dipeptidyl peptidase-4 (DPP-4)の役割の解明を目指して実験を遂行中である。具体的には、肺構成細胞の培養実験、ARDSモデルマウスを用いた動物実験により、「呼吸器組織におけるDPP-4の作用機序」および「ARDSにおけるDPP-4の体内動態」の解明を目指して研究を実施中である。 培養実験では、ARDS病態の特徴が過剰な炎症、上皮および内皮細胞間の透過性亢進であることをふまえ、siRNAによりCD26/DPP4発現を調節した肺胞上皮細胞および肺血管内皮細胞を用いて、FACS、RNA解析などにより炎症性サイトカイン発現調節の評価および細胞増殖能アッセイなどによる増殖能の評価をすすめ、細胞レベルでのDPP4の影響について解明に努めている。研究成果について国際学会にて発表予定である。 また動物実験では、「ARDSモデルにおけるDPP-4の体内動態」さらに「体内動態と肺傷害重症度にも関連があるか」について、LPS誘導肺障害マウスを用いて、BAL中および血清中のDPP4の濃度および活性の測定および肺傷害の程度についての評価を繰り返し、実施している。こちらの内容の一部については、研究成果について国際学会にて発表を行った。本研究を通じて、引き続きDPP-4を介した難治性呼吸器疾患の病態解明および新規治療戦略の構築に貢献したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養実験は気道上皮細胞および肺血管内皮細胞をもちいて、siRNAによるCD26の発現制御が安定してできている。 その上での細胞機能評価を繰り返し実施し、CD26の機能についての解明が進んでいる。 動物実験はマウスへのLPS気管内投与による肺傷害モデルの作製が安定しており、気管支肺胞洗浄液、肺組織、血液などからの検体採取がすすんでおり、データの収集が着実に進んでいると認識している。 国際学会での発表も2020年度に2回目を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
CD26/DPP4KOマウスを用いた実験も開始しており、引き続き、in vitro、in vivoの実験を継続し、多面的に肺傷害におけるCD26/DPP4の役割解明に努める予定である。 研究成果については、国内、国外での学会発表および論文発表に向けて、研究をまとめていくことを目標に研究をすすめていく方針である。
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