2021 Fiscal Year Annual Research Report
Search for the unique carcinogenic mechanisms of lung cancer with interstitial pneumonia
Project/Area Number |
19K17669
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
本多 隆行 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (30827259)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺発がん / ゲノム解析 / 間質性肺炎 / NKX2-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、臨床疫学的に発がんと強い関連を示す疾患、間質性肺炎(IP)が腫瘍促進的な微小環境の本態で、腫瘍のみならず非腫瘍部にも萌芽的なゲノム異常が起こっているとの仮説のもと、それらを実際の臨床試料を用いて検証することを目的とした。また、IPに合併した肺がんにおいて、先行研究からは肺発生系譜上の重要な転写因子であるTTF-1/NKX2-1含む肺サーファクタント関連遺伝子群の発現量低下を及ぼす変異が、UIPを合併した肺癌における特徴的遺伝子異常のひとつであった。さらに全ゲノムシークエンスによって構造異常も含めてNKX2-1発現に影響を及ぼす異常の同定を目指した。 IPに合併した肺腺がんの全ゲノムシークエンスから、NKX2-1が変異および構造異常を含めると、IP合併肺腺がんの1/3において肺発がんの幹となる遺伝子異常であることが示された。また、それらの異常はNKX2-1の発現量の低下をもたらすことがRNA-Sequenceで確認された。 以上から、通常型の肺腺癌とは大きく異なり、本疾患を特徴づけるドライバー遺伝子としてNKX2-1が同定された。また、非腫瘍部の肺を用いた解析では、DNA収量に難渋したものの、がん関連遺伝子の変異が同定された。このことから、肺発がんにおいては非腫瘍部においても、萌芽的な遺伝子異常の蓄積が起こっていることが判明した。以上の結果から、IPに合併した肺腺がんが、通常型肺腺がんと異なる、既存のドライバー遺伝子には依存しない発がんの一端を検証出来た。
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