2023 Fiscal Year Annual Research Report
Functional analysis of NGFR positive cells in pulmonary arterial hypertension
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19K17670
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
五天 千明 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任助教 (80802818)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経成長因子受容体 / 肺高血圧症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、間葉系幹細胞の中でも、多分化能、増殖能に優れたNGFR(nerve growth factor receptor)陽性細胞に注目し、臨床研究においてNGFR陽性細胞と肺高血圧症の重症度および予後との関連性を明らかにした。NGFR陽性細胞は健常者と比較し肺高血圧症患者において有意に末梢血中に増加していることを確認した。さらにNGFR陽性細胞は肺高血圧症における血行動態(平均肺動脈圧、心係数、肺血管抵抗)と相関関係を認め、より重症な肺高血圧症において末梢血中NGFR陽性細胞が増加していることを確認した。また、基礎研究にてNGFR遺伝子欠損マウスを用いて、低酸素誘発性肺高血圧症モデル(PHモデル)を作成し、肺高血圧症の病態形成におけるNGFR陽性細胞の役割を検討した。結果、NGFR遺伝子欠損マウスはWTと比較し、右心カテーテル検査による右室収縮期圧が上昇し、肺の組織学的評価において有意な中膜肥厚を認め、低酸素誘発性肺高血圧症の増悪が示唆された。一方で、NGFR遺伝子欠損マウスに放射線照射後、それぞれNGFR遺伝子欠損マウスおよびWT骨髄移植し、同様にPHモデルを作成した。結果、NGFR遺伝子欠損マウスと比較し、WTの骨髄移植したPHモデルにおいて、右室収縮期圧および肺動脈中膜肥厚の軽減が得られた。これらの結果から、NGFR陽性細胞が肺高血圧症の病態形成において保護的効果を有する可能性が推察された。今後、NGFR陽性細胞の肺血管リモデリングに関与する機序解明にむけ、さらなる検討が必要である。
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