2019 Fiscal Year Annual Research Report
がん関連線維芽細胞が誘導する腫瘍免疫応答の解明と肺腺癌に対する新規免疫療法の開発
Project/Area Number |
19K17677
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐藤 亮 熊本大学, 病院, 医員 (10802069)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺腺癌 / がん関連線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫療法は予後不良な進行肺癌において長期生存や根治が期待できる治療法として確立しつつある。しかし、免疫療法が著効する患者は限定的であり、治療抵抗性のメカニズム解明が喫緊の課題である。申請者は、がん微小環境を構成するがん関連線維芽細胞(cancer associated fibroblasts : CAFs)が肺腺癌の組織亜型を変化させ、腫瘍内不均一性を誘導することを見出してきた。最近、肺腺癌では組織亜型毎に免疫学的プロファイルが異なることが報告され、組織亜型と免疫関連遺伝子は共通のメカニズムによって制御されている可能性が考えられる。そこで本研究計画では、組織亜型と免疫関連遺伝子の関連性を明らかとし、組織亜型の規定因子として同定したCAFsが腫瘍免疫に及ぼす影響を解析することで、免疫療法の治療抵抗性メカニズム解明に挑むこととした。 本年度は、肺腺癌組織の腫瘍免疫環境を定量化する手法の確立に取り組んだ。近年、顕微鏡や染色技術の進歩に伴い、多数の分子を同時に検出することのできるマルチプレックス免疫組織化学染色や、高倍率で取得した画像を繋ぎ合わせて一つのファイルとして扱うWhole slide image(WSI)の技術が確立し、癌組織内の構成細胞を高精度に解析できるようになってきている。そこで、肺腺癌組織を多数の免疫細胞マーカーでマルチプレックス免疫組織化学染色を行い、取得したWSIをStrataQuest (TissueGnostics社)にて定量解析する手法を確立した。本手法を用いることで腫瘍免疫プロファイルを高精度かつ効率的に解析することが可能となり、現在CAFsと腫瘍免疫環境との関連性の解析を進めている。
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