2021 Fiscal Year Annual Research Report
LncRNAの機序を解明し、マクロライド薬のCOPDに対する治療法の確立を目指す
Project/Area Number |
19K17679
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
井尻 尚樹 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (10567788)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NEAT1 / COPD / LncRNA / マクロライド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、タバコ煙に直接曝露される細胞である気道上皮細胞を用いて、ステロイド不応性である慢性気道炎症を示す慢性閉塞性肺疾患の病態を、抗炎症効果を誘導するNrf2やマクロライドとLncRNAsの相互作用を解明といった新しい観点から検討を行うものである。 具体的な研究方法としては、気道上皮細胞の細胞株であるBEAS-2Bを用い、マクロライド薬であるエリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンでそれぞれ前処置を行った後に、タバコ煙抽出液による刺激を行い、喫煙刺激に対するマクロライドの効果を検討した。結果としては、一部のマクロライド薬において抗炎症性効果を誘導する可能性を確認した。また並行してLong non coding RNAであるNEAT1というRNAに関してタバコ煙抽出液による刺激時の炎症反応への影響を確認するために、BEAS-2Bを用いタバコ煙抽出液で刺激した後にNEAT1のRNA発現を確認したところ、NEAT1は上昇しており同時に炎症性サイトカインも上昇していた。 そこでNEAT1に対するsiRNAで不活化し同様の実験を行ったところ、炎症性サイトカインの低下が見られるとともに、Nrf2の上昇も認めなかった。上記からNEAT1も炎症の誘導に関与している可能性を示唆する所見を得た。 次に上記結果をヒトのPrimary細胞を用いて確認するために、当施設での外科手術検体から得られる組織からCOPDあるいは非COPD患者の気道上皮細胞を培養し実験に用いる予定であったが、COVID19の影響によりヒト細胞の獲得が困難となり、さらに生検組織を新鮮に保つための溶液も発売中止となり、ほぼ上記実験は行えずに期間を迎えた。
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