2020 Fiscal Year Research-status Report
肺癌関連線維芽細胞の制御因子の解明から標的治療への展開
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19K17683
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
難波 由喜子 順天堂大学, 医学部, 助教 (90782243)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 癌関連線維芽細胞 / 非小細胞肺癌 / TGFβ1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では非小細胞肺癌の手術肺検体から得られる癌組織から肺線維芽細胞の分離培養を行い非癌部の正常肺線維芽細胞をコントロールとしたCAFの生理機能活性化機序の比較検討を行った。CAFの遊走能に着目し生理機能解析を行ったところ、CAFはコントロールと比較し遊走能が亢進していることがわかった。さらにCAFと肺癌細胞の共培養系を構築し癌細胞-CAFの相互作用の検討を行ったところ、CAFは癌細胞と共存することで癌細胞の成長をより促進させている可能性があることがわかった。さらに我々はCAFで亢進している生理機能活性制御因子を同定するために、研究協力施設の理化学研究所においてコントロールとCAF両群のCAGEによる転写活性解析を行った。この結果をふまえ我々はCAFで亢進している制御因子integrin α11(ITGA11)とcollagen type 11α1(COL11A1)に着目し、制御因子ITGA11においてはCAFの遊走能に関与していること、制御因子COL11A1においてはCAF特異的に発現している新規マーカーとして制御因子ITGA11と相同的に発現していることがわかった。またこれらの因子を介するCAFの生理機能活性化機序を解明するため、これらの因子を肺線維芽細胞(HFL-1)に強制発現もしくはノックダウンさせCAFの遊走能の直接的制御因子であることを実証した。また制御因子ITGA11はCAFの活性化成長因子であるTGFβ1により発現が上昇するが、TGFβ1の古典的な経路であるTGFβ1-Smad経路に依存するのではなく、ERK1/2シグナルに依存することが判明した。我々は過去に肺線維症の肺線維芽細胞においてもCAGEでの表現型と遊走能を検証したが、肺線維症の肺線維芽細胞とCAFは明らかに表現型が異なる線維芽細胞であり、この違いの理由としてCAFと癌細胞の共培養系の実験結果か癌細胞との相互作用により制御因子ITGA11と COL11A1が誘導された結果起こる現象であることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CAGEによる網羅的プロモーター活性のバイオインフォマティクス解析を行い、コントロールとCAFの表現型の違いを明らかにして、CAFの生理機能に直接関与し得る制御因子ITGA11と COL11A1を発見した。CAFが癌細胞と共存することで制御因子ITGA11と COL11A1を介するCAF特異的な活性化シグナル経路を活性化させることで癌進展を促進している可能性があることがわかった。以上の結果より原著論文を作成し、査読付き英文雑誌に投稿した(Mol Oncol. 2021; 15(5): 1507-1527.)。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はCAFのCAGEから更なる、CAF活性化につながる候補制御因子の探索を行い、今回CAFの遊走能に関連したITGA11と COL11A1と新たな制御因子の相互作用を確認する。またその、新たなCAFの生理機能活性に関与する制御因子を強制発現もしくはノックダウンさせた正常肺線維芽細胞(HFL-1)がITGA11を介してCross-Talkして作用していくのか調べていく。
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Causes of Carryover |
研究は概ね順調に進行しており、CAFの生理機能に直接関与し得る制御因子ITGA11と COL11A1を発見し、論文投稿を行なった。今後さらに本研究を発展させ、CAFの遊走能に関連したITGA11と COL11A1と新たな制御因子の相互作用を確認するために、次年度使用額を充てる予定である。
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Research Products
(1 results)