2020 Fiscal Year Annual Research Report
発生期の増殖・分化制御因子(ID遺伝子)を利用した肺癌治療への新規アプローチ
Project/Area Number |
19K17691
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清川 寛文 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (40790621)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺癌 / 発生学 / 組織幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの検討により、気管形成期ではTgfbシグナルがId2遺伝子の発現、気道上皮前駆細胞の増殖を抑制していることがわかった。そのため成体の気管においても同様の関係が保たれているのかを検証する目的で、Tgfb2受容体欠損マウス(Tgfbr2 cKO)にSO2ガスのよる組織障害を起こし、組織再生時のId2の発現、またガンの発生母地である基底細胞の増殖能を調べた。Tgfbr2 cKOマウスでは野生型に比べ、Id2の発現が高くなり、また組織増殖も優位に延長した。結果、Tgfbr2 cKOマウスでは前癌状態と考えられる基底細胞の過形成状態が生じ、Id2の過剰発現が扁平上皮ガン形成に寄与する可能性が示唆された。またBmp4はId2の活性化シグナルとして知られているため、発生期と組織再生気のBmp4の発現パターンをsingle molecule ISHを使用し検討した。Id2の上昇と一致し、Bmp4 mRNAの発現は間充織細胞で活性化されており、間充織からのBmp4リガンドが気管上皮におけるId2の制御因子であることが示唆された。この因果関係を遺伝学的に証明するため、Nkx2.1CreERT2, Bmpr1(flox/flox) miceを使用し気管上皮特異的なBmpr1受容体のノックダウンを行なった。Bmpr1受容体ノックダウンマウスにおいては野生型に比べId2発現と細胞増殖が優位に低下しており、間充織細胞由来のBmp4リガンドが上皮細胞のId2遺伝子・細胞増殖を制御していることが示された。以上より、Bmp4/Tgfbシグナル系はId2遺伝子を介し気管上皮細胞の増殖を制御していることがわかった。
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Research Products
(3 results)