2020 Fiscal Year Research-status Report
Genetic dissection of intratumor heterogeneity in lung cancer harboring driver mutations based on tumor PD-L1 expression
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19K17694
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
國政 啓 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 呼吸器内科 医長 (30838892)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腫瘍内不均一性 / ドライバー変異 / PD-L1 / 次世代シーケンサー / ゲノムバイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の初年度には腫瘍組織のPD-L1染色とレーザーマイクロダイセクションを組み合わせ、PD-L1発現の違い(腫瘍内不均一性)とその遺伝的背景について次世代シーケンサーを用いて解析を行った。次世代シーケンサーの解析については山梨県立中央病院ゲノム解析センターにて研修を行い、その仕組みや検体準備について学んだ。当初の計画通り、EGFR遺伝子変異を有する検体を用いてPD-L1の腫瘍内不均一性とその遺伝子変異の違いの解析を所見度に完了した。結果としてはマイクロダイセクションのスケールでは腫瘍内の遺伝的不均一性を明らかにすることは不可能であり、かつPD-L1の発現の差は局所のリンパ球浸潤の程度に強く影響されていることが結果としてわかった。本課題のもう一つの目的として癌免疫療法におけるゲノムバイオマーカーの探索があり、癌免疫療法として抗PD-1抗体である、Pembrolizumabと同薬剤を投与された肺癌症例61例に対してその治療効果と腫瘍組織のゲノム解析を行っている。今年度中には解析が終了する見込みであり、抗PD-1抗体薬のゲノムバイオマーカーの報告を行う予定である。これまでの解析から腫瘍内に遺伝子変異の不均一性を認め、それが治療効果に影響を及ぼした症例も見出しており、こうした症例については個別の報告として論文化を行っている。現時点で2年間の研究期間で初年度に論文2報、次年度に論文4報の報告に成功している。最終年度はこれまでの成果をまとめて論文化を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究結果を踏まえ、研究計画書にて計画していたマイクロダイセクションにて腫瘍内の遺伝子変異の不均一性をとらえることは困難であることがわかった。2020年9月にCell誌に出版されたsingle cell解析を用いて肺癌の腫瘍内不均一性を検討した論文(Cell. 2020 Sep 3;182(5):1232-1251.)にもあるように、single cell程度の解像度でないと腫瘍内不均一性をとらえることは困難である可能性がある。研究の方針として癌免疫療法と遺伝子変異との関連についての解析を大きな課題とし、その中で治療効果と相関するような変異を検出し、その変異タンパクの状態を免疫染色により評価することで腫瘍内不均一性と癌免疫療法との相関について検討することとした。昨年度末の報告書に記載したように、NextSeq(Illumina)を用いて抗PD-1抗体薬を用いて、その効果が評価できている肺癌症例61例のゲノム解析を終了し、その効果と遺伝子変異との相関について解析を進めている。これらの結果を基に抗PD-1抗体薬の効果の予測因子となりうる遺伝子変異の同定を今年度中に行う。シーケンスは現時点で終了している。腫瘍内不均一性の解析については前年度中に行った解析検討から論文作成を進めており、昨年度には分子標的薬剤の効果と腫瘍内不均一性との関連を明らかにすることができた一例について論文報告を行い、また研究の中で検出した稀少変異の症例について一例を論文報告した。それぞれ学会発表も行っている。遺伝子解析の点で肺癌では微小検体を基にゲノム解析を行う必要性があり、その臨床上での課題についても検討し、論文として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、最終年度に入るためにこれまでのデータについて論文化を進めていく。まずは前2年でデータをあつめた、EGFR遺伝子変異陽性肺癌におけるPD-L1の不均一性に基づく、遺伝子変異の相違について、マイクロダイセクションを行い、ゲノム解析を行った結果について論文化を行う。今年度中の採択を目指す。癌免疫療法として抗PD-1抗体薬とその治療効果予測としてのゲノムバイオマーカー研究については現時点で解析を終了した61例のデータと臨床データを統合したものの論文化を進めるが、国立がんセンター東病院のデータベースを用いた共同研究については、現在同院の松本慎吾先生と協議中である。当院で出したデータに対するconfirmation cohortとして国立がんセンター東病院との共同研究の可能性について引き続き、協議を重ねる。共同研究の実現が困難である場合には、現時点でのデータをまとめて、論文化を行う予定である。これらの解析の結果から、有望なバイオマーカーを見出すことができつつあり、それらのバイオマーカーを後ろ向きなコホートで更に評価することを計画している。腫瘍内不均一性については当初のマイクロダイセクションでは評価が困難であると考えており、新たに血漿中のcell free DNAを用いた次世代シーケンス解析にて、不均一性の評価ができないか検討中であり、研究費の一部を用いて同検討を進める予定である。可能であれば、この検討についても本年度中に論文化を目指す。
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Causes of Carryover |
令和2年度の残額については、コロナ感染症の影響により試薬の搬送に遅延などが生じたためと考える。次年度に計画に沿って執行を進めていく。
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Research Products
(10 results)