2019 Fiscal Year Research-status Report
腎臓病における尿エクソソーム内包物の探索と機能解明
Project/Area Number |
19K17695
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河村 哲也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80773829)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 腎臓病 / エクソソーム / 細胞外小胞 / micro RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外小胞の一種であるエクソソームは蛋白,核酸等多種多様な分子を内包しており,細胞間コミュニケーションの担い手として働くことが知られている.先行研究の成果として,腎臓病では尿中に腎臓の各構成細胞由来のエクソソームが検出可能であり,内包物の検討が進められている.本研究では,腎臓病動物モデル及びヒト腎臓病での尿エクソソームの質的・量的比較検討を行い,その障害細胞特異性を明らかにする.その特異性に応じて,診断・治療マーカーとなりうるエクソソーム内包物の探索をおこなう.続いて,エクソソーム内包物による培養細胞刺激実験によって細胞機能への影響を検討する.
腎臓病におけるエクソソームの意義を明らかにし,将来のエクソソームを用いたヒト腎臓病の診断・治療等臨床応用への基盤確立を目的として研究を進めている.まず,腎臓病動物モデルにおける尿エクソソームの質的・量的比較検討に着手した.
①ラット尿エクソソームの簡便な抽出・定量方法は確立していなかったため,いくつかの抽出・定量方法を施行,結果比較し,適切な方法を検討した. ②腎臓病モデル動物間での比較検討:糸球体・ポドサイト障害モデルとしてPAN腎症ラット,尿細管障害モデルとして虚血再灌流ラットを採用し,モデル間,コントロールとの尿エクソソームの定量比較を行い,量的差異の有無を検討した.結果,モデルの障害時相に応じてのエクソソームの量的変化を検出した.続いてエクソソームRNAの抽出,定量PCRで障害部位に応じたマーカー候補(Tcf21,ネフリン,DKK3,アクアポリン1・2,等)の発現の差異を検討した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル動物での検討の結果解析中であり,ヒト腎臓病での比較検討への着手を計画している.
|
Strategy for Future Research Activity |
ラット,ヒト各腎臓病間におけるエクソソームの質的・量的差異の検討を施行し,差異の有無の解析中である.差異に応じて,診断マーカーとなりうるエクソソーム内包物の探索をおこなう.また,エクソソームによる培養細胞刺激実験でin vitroでの細胞機能への影響の検討をおこない,エクソソームによる腎臓病の診断・治療モデルの確立を最終的に目指す.
|
Causes of Carryover |
モデル動物の実験スケジュールを変更したため,物品費が少なくなった. 学会発表,論文化スケジュールの変更のため,旅費,論文投稿料等の使用がなかった.
|