2019 Fiscal Year Research-status Report
Examination on serum Angptl2 measurement as a prognostic factor of diabetic nephropathy
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19K17703
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高橋 和也 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00646135)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎症は末期腎不全の原疾患第一位であり、腎症の進展抑制のためにはより早期に診断し治療介入を行うことが重要である。早期糖尿病性腎症のバイオマーカーとして尿中アルブミン値が広く用いられているが、アルブミン尿が軽微にも関わらず腎機能障害が進行している糖尿病患者も少なくない。アルブミン尿のみで腎予後を予測することは困難であり、糖尿病患者における腎症進展に関する新規バイオマーカーの開発が求められている。 アンギオポエチン様因子2(Angiopoietin-like protein2:Angptl2)は、過食、運動不足など持続的なストレスによって過剰発現し、糖尿病など生活習慣病を引き起こすことが知られている。本研究は、糖尿病性腎症の早期発見、予後予測マーカーとして、血清Angptl2測定の有用性を明らかにしていくものである。 腎機能の推移を追跡可能な糖尿病症例の抽出を行い、観察開始時の主要臨床パラメータとラボデータ(尿アルブミン/尿Cr比、ヘモグロビン、血清アルブミン、CRP、eGFR)、観察期間中の腎機能(アルブミン尿、eGFR)を収集し、ヒトAngptl2 ELISAキット(IBL)を用いて血清Angptl2濃度の測定を行った。腎症ステージごとに血清Angptl2高値群、低値群に分け、COX多変量解析を用いて解析を行ったところ、Angptl2濃度が高い群では腎生存率が低い結果が得られた。また、アルブミン尿の程度によって3群に分類したところ、いずれにおいても腎症が悪化した患者の血清Angptl2は有意に高値であった。この結果から、Angptl2がアルブミン尿、eGFRとは独立した腎症の早期発見、予後予測マーカーとなり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者血清を用いた解析から、Angptl2が糖尿病性腎症の予後予測マーカーとして機能する可能性を示唆する結果が得られた。現在、その病態生理学的な作用を解明するため、細胞を用いた検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
① 糸球体上皮細胞(podocyte)に対するAngptl2の作用の解明 脂肪細胞等から過剰に分泌された血中Angptl2が糸球体上皮細胞障害を惹起していることを確認するために、培養mouse podocyteを用いて、これにrecombinant Angplt 2を添加することにより惹起されるintegline α5などを介したILK、PI3Kなどの細胞内シグナルの変化を確認し、さらに様々な糸球体上皮細胞障害の過程へのAngptl2の関わりを検討し、アルブミン尿の病態とAngptl2の関わりを明らかにする。 ② マクロファージにおけるAngptl2の産生亢進と腎機能障害進展との関連を検討 末期腎不全への進展における、腎局所におけるマクロファージからのAngptl2過剰産生を明らかにして、腎間質の線維化や尿細管障害の進展に対するマクロファージ及びAngptl2の病態生理学的な関わりを検討する。
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