2019 Fiscal Year Research-status Report
ウロモジュリンによる糸球体濾過の調節と新たな腎保護メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K17711
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
高田 知朗 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (70835686)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウロモジュリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヘンレループの太い上行脚から生理的に産生・尿中へ分泌されるタンパクであるウロモジュリンに着目し、尿細管腔内へ分泌されたウロモジュリンによる体液バランス調節と、糸球体濾過調節メカニズムとの関連を明らかにすることを目的とする。本年度はまず、in vitroで管腔側ウロモジュリンの尿細管上皮輸送体への働きを明らかにするため、ウロモジュリンの主たる産生部位であるヘンレループの太い上行脚ならびにマクラデンサにおいて局在を示すNa-K-Cl2共輸送体についての活性とウロモジュリンとの関連の検討に着手した。マウス腎臓からのマクラデンサ細胞の単離培養を試みたが、細胞数が少なく困難であった事から、細胞へ遺伝子導入を行って検討することとした。引き続く研究過程においてマクラデンサ細胞でのNa-K-Cl2共輸送体を介した機能を解析するため、ヒト胎児腎細胞にnNOSやCOX-2などの複数の遺伝子を同時に導入すことをあらかじめ想定し、人工染色体ベクターを搭載したヒト胎児腎細胞内に作成したNa-K-Cl2共輸送体遺伝子を導入し成功した。また腎臓での体液調節系において、集合管での自由水の再吸収はNa-K-Cl2共輸送体による間質浸透圧の維持と共同で作用することから、集合管に到達した管腔側ウロモジュリンの働きについても平行して検討を進めた。集合管細胞株を用いて、自由水再吸収を担う輸送体であるアクアポリン2チャンネル活性について検討したところ、ウロモジュリンが自由水再吸収の制御にも関わっていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
あらかじめ立案した複数の手法をもとに研究計画を立てており、想定した手法がうまくいかなかった際に代替手法を採用することで研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降では、in vitroでの検討追加が必要な項目についてはさらに解明を進めるとともに、実験動物をもちいた実証を行う。
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Causes of Carryover |
当初の見込みより低価格で必要物品の購入ができたため。次年度以降の研究遂行に必要な物品等の購入に充てる予定。
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