2022 Fiscal Year Annual Research Report
保存期腎不全おける、血清亜鉛濃度が血清石灰化傾向(T50)に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
19K17713
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
仲谷 慎也 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (80701325)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血清石灰化傾向(T50) / 亜鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病領域で、総死亡・心血管イベントの新規サロゲートマーカーとして血清石灰化傾向T50が注目されている。血液透析患者を対象に、活性型ビタミンDとカルシミメティクスによるT50の変化を検討するRCTを行い、カルシミメティクスでT50が有意に延長することを示した。その研究において、我々の測定系でのT50の値と既存の測定法(スイス、カルシスコン社)T50の値は高い相関関係を認め、我々の測定系が安定していることを示した。 近年リンにより誘導される血管石灰化を亜鉛が抑制する基礎実験結果が報告されている。2型糖尿病合併保存期慢性腎臓病患者を対象にT50と亜鉛の関係を横断的に検討した。対象は132名、年齢71歳、男性78名eGFR59mL/min/1,73m2、HbA1c8%という患者群において、血清亜鉛濃度はT50と有意な正の関連を示し、さらに健常者、血液透析患者の血清に20μMの塩化亜鉛を添加するとT50は延長した。以上より、我々のT50の測定系は安定していることと、血清亜鉛は2型糖尿病合併保存期慢性腎臓病患者における、血清の石灰化傾向を抑制する可能性が示唆された。98例の腎生検をうけたCKD患者では、亜鉛とT50は有意な正の相関をしめしましたr=0.550 p<0.0001 )。亜鉛とT50の関連を示すことができた。しかし、亜鉛値とIMT,PWVなどのパラメータは有意な関連を認めませんでした。なお、末期腎不全患者109例ではT50は170分と短縮していました。(保存期CKDでは約250分)また亜鉛とT50は有意な正の関連をしめしました(β=0.281 R2=0.300。亜鉛は、血清石灰化傾向であるT50というサロゲートマーカの規定因子であることは示せましたが、エコー、CT検査のでIMTやCACSそしてハードアウトカムであるCVDイベント・総死亡に関してはさらなる検討が必要である。
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