2021 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎臓病における代謝変容の解析とエネルギー代謝制御による新規治療の開発
Project/Area Number |
19K17717
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤井 健太郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70626390)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎臓病 / 腎代謝変容 / アミノ酸代謝 / ロイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎臓病(DKD)では臨床経過の速い症例と遅い症例があり、進行の速い群では腎線維化が強く生じることが示されている。高蛋白食は、DKDに限らず慢性腎不全の増悪リスクとなるが、腎線維化の亢進にも関与することが知られている。本年度は、糖尿病に伴う腎組織におけるアミノ酸代謝の変容が、DKD進展に関与する可能性につき検討した。ストレプトゾトシン(STZ) 200mg/kgを2回腹腔内投与して、血糖値400~600mg/dlとした1型糖尿病モデルマウス(STZマウス)の腎臓を回収し、インスリン欠損と高血糖に伴う腎組織でのアミノ酸代謝変容を、メタボロームを用いて解析した。STZマウスの大腿四頭筋では、正常血糖マウスと比較してグリシン、リシン、メチオニン、グルタミンが減少し、分枝鎖アミノ酸(BCAA: イソロイシン, ロイシン, バリン)が、顕著に増加していた。そこで、増加したBCAAが腎線維化と腎不全の進展に関与するとの仮説をたて、飲水中に2.5%の濃度でロイシンないしはバリンを添加してSTZマウスに4週間投与し、腎不全の進展を検討した。腎線維化を促進し、腎不全の進展に関与する可能性が報告されているアミノ酸である、アルギニンを飲水投与したSTZマウスも同様に観察した。アルギニン, ロイシン, バリンを4週間飲水投与後、尿生化学検査, PCR法による遺伝子発現解析, 腎組織学的検査にて、腎線維化ならびに腎機能障害の進展を検討したところ、ロイシンを投与したSTZマウスで、腎不全が著明に進行することを見出した。腎組織のヒストンアセチル化を免疫染色法で検討したところ、ヒストンH3, H4の総アセチル化が、ロイシン投与で増加していた。
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