2019 Fiscal Year Research-status Report
SWPU systemを用いた新規腎臓再生法の構築
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19K17722
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
横手 伸也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30459656)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腎臓再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、世界中で腎臓病患者は増加しており、日本においても透析療法を受ける末期腎不全患者は増加傾向である。透析関連医療費は全体で1兆円以上を占め、医療費増大の一因となっている。 我々の研究室では、ヒト幹細胞をラット後腎(胎仔の腎臓)に注入し、幹細胞の足場として用いて腎臓への分化誘導を促すことにより、尿産生能力を持つヒト細胞由来の新規腎臓の作成に成功している(胎生臓器ニッチ法)(Yokoo T, et al. PNAS. 2005)。しかし、この方法では、新規腎臓の尿排泄路がないため、長期発育が困難となる問題があった。そこで、申請者は、腎臓再生を実臨床に応用するため、再生腎臓の尿排泄路システムであるStepwise Peristaltic Ureter system : SWPU systemを開発した。SWPU systemとは、幹細胞の足場として、後腎ではなく膀胱付き後腎(クロアカ)を用いることで、新規腎臓の産生する尿がクロアカ膀胱内にたまり、新規腎臓ができた後にクロアカ膀胱とレシピエント尿管とを吻合することで、尿排泄路を維持する方法である。今回の研究では、SWPU systemを用いて再生した新規腎臓をさらに大型化し尿量を増加させる方法を開発し、臨床応用に向けての研究基盤を確立することが目標である。 計画している研究内容は次のものである。 ①間葉系幹細胞やVEGFなどの増殖因子の投与が再生腎臓の大きさに与える影響の解析。②利尿剤Tolvaptanが再生腎臓の尿量増加に寄与するかの検討。③以上の研究で新規腎臓の巨大化や尿量増加が認められる場合には、それらの方法を用いることで無腎ラットの長期予後を改善しうるかについて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LEWIS雄性ラット(n=16)より皮下脂肪を摘出し、間葉系幹細胞を抽出する。ADMSCsはフローサイトメトリーにより、表面マーカー(CD90陽性、CD29陽性、CD34陰性、CD45陰性)を確認し、また、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞へ分化可能であることを確認した。 妊娠15日のLEWIS妊娠ラットより胎仔を摘出し、顕微鏡的に腎原器(膀胱付後腎:以下クロアカ)採取する。そのクロアカを先ほど雄性ラットの傍大動脈領域に1体につき1個移植する。ラットは3群に分け、移植時より1週間おきに計6回(移植時,移植後1,2,3,4,5週目)、ADMSCs群にはADMSCs 1×106個/PBS 1mLを、VEGF群にはVEGF 3μg/PBS1mLを、HGF群にはHGF 300μg/PBS 1mLを、コントロール群はPBS 1mLを尾静脈より投与。移植後3週目に左腎摘出及びクロアカ膀胱と左尿管吻合を施行(SWPU施行)。移植後6週間目(SWPU後3週間)で安楽殺し、新規腎臓の重量、腎組織(Masson、TUMEL)、遺伝子発現を評価した。部分的に差を認めたが、有意ではなかった。 N数を増やすべく研究を遂行予定でる。
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Strategy for Future Research Activity |
各群間で有意差が出にくい理由として、①N数が足りない、②投与する薬剤の量が適切でない、③SWPUの手技的な複雑さによる影響、が考えられた。それらを克服するため、今後も条件を振り分けてN数を増やしてゆき、有意差が出るかどうか検討ゆく予定である。
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Causes of Carryover |
若手研究以外の研究助成金を優先して使用したため、結果的に当該年度の支出が抑えられ、次年度使用額が発生することとなった。今後は若手研究の研究助成金を使用予定であり、実験動物、PCR等の研究試薬、間葉系幹細胞培養液等の培養試薬などに研究助成金を使用してゆく予定である。
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[Journal Article] Negative Impact of Proteinuria on Circulating Myeloid Dendritic Cells2019
Author(s)
Masato Ikeda 1 , Risa Terashima 2 , Taku Yamada 3 , Masahiro Suyama 3 , Shinya Yokote 3 , Masatsugu Nakao 2 , Izumi Yamamoto 2 , Keita Hirano 2 , Hideo Okonogi 2 , Hiroyasu Yamamoto 2 , Takashi Yokoo
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Journal Title
Clinical and Experimental Nephrology
Volume: 23
Pages: 928-938
DOI