2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K17724
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
藤沢 治樹 藤田医科大学, 医学部, 講師 (50836830)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 浸透圧性脱髄 / 低ナトリウム血症 / 再生 / オリゴデンドロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
浸透圧性脱髄は、低ナトリウム血症治療時の合併症で、血清Na濃度が急速に上昇することによって発症し、意識障害、四肢麻痺、偽性球麻痺、呼吸障害等の一部は不可逆的な症状を呈し、しばしば致死的になる重篤な疾患である。申請者のグループではその予防法について研究を続けてきたが、完全に発症を防止することはできず、一旦発症した場合にはその治療法は存在しない。そこで、本研究では動物モデルを用いて髄鞘再生の促進による浸透圧性脱髄の治療法を開発することを目的とした。 上記目的のためには、浸透圧性脱髄モデルマウスを作製することが必要である。浸透圧性脱髄は、慢性低Na血症の状態で、急激に血清Na濃度を上昇させることにより発症する。そのため、浸透圧性脱髄を発症させるためには、慢性低Na血症モデルマウスを作製する必要がある。本研究においては、これまでに、低Na血症の原因として最も一般的な抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)慢性低Na血症モデルマウスの作成に成功した。具体的には、浸透圧ミニポンプを用いてバゾプレシンのアナログ製剤dDAVPの持続皮下投与と液体食投与によって低Na血症を誘導した。dDAVPの濃度などを調整することにより、血清Na濃度約110 -120台 mEq/Lで安定した慢性低Na血症の作製に成功した。さらに、SIADH慢性低Na血症モデル動物の生理学的、行動学的解析も行った。本モデルマウスは浸透圧性脱髄だけでなく、慢性低Na血症の研究においても有用なモデルと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では動物モデルを用いて髄鞘再生の促進による浸透圧性脱髄の治療法を開発することを目的としている。この目的のため、浸透圧性脱髄モデルマウスを作製するが、浸透圧性脱髄を発症する前段階としてのSIADH慢性低Na血症モデルマウスの作製に成功した。さらに、このモデルマウスの行動解析、生理学的解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、浸透圧性脱髄を発症させる前段階としてのSIADH慢性低Na血症モデルマウスの作製に成功しており、今後、高張食塩水の腹腔内投与および液体食・dDAVPの持続皮下投与を中止することにより、浸透圧性脱髄モデルマウスを作製する予定である。これと並行して、ラット由来のオリゴデンドロサイト初代培養を行い、浸透圧変化によるオリゴデンドロサイトの影響も評価していく予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] リンパ球性漏斗下垂体後葉炎の6歳児例2019
Author(s)
西本由佳, 前田明彦, 椙村益久, 藤沢治樹, 鈴木敦詞, 萩野紘平, 丸金拓蔵, 澤井孝典, 島田誠一, 白石泰資, 荒木まり子
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Journal Title
小児リウマチ
Volume: 10
Pages: 33-37
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[Presentation] リンパ球性漏斗下垂体後葉炎(LINH)診断マーカーとしての抗Rabphilin-3A抗体の有用性の検討2019
Author(s)
藤沢 治樹, 椙村 益久, 中山 将吾, 川上 司, 淺田 陽平, 増田 富, 戸松 瑛介, 吉野 寧維, 平塚 いづみ, 清野 祐介, 四馬田 恵, 高柳 武志, 鈴木 敦詞
Organizer
第92回日本内分泌学会学術総会
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