2022 Fiscal Year Annual Research Report
後天性嚢胞腎を対象とした腎不全におけるシアル酸修飾とKdn蓄積の意義について
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19K17730
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川西 邦夫 筑波大学, 医学医療系, 助教 (00578750)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 透析腎癌 / 後天性嚢胞腎随伴性腎細胞癌 / 後天性嚢胞腎 / シアル酸 / Kdn / 糖鎖バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト血清中に抗Kdn抗体が存在すること、および透析患者血清でのKdn過剰蓄積の発見(K. Kawanishi, et al. J Clin Invest 131, e137681, 2021.)をもとに、腎不全状態の腎臓に非遺伝的に発生する後天性嚢胞腎(Acquired cystic kidney disease, ACKD)と、ACKDを母地として発生する後天性嚢胞腎随伴性腎細胞癌(Acquired cystic disease associated renal cell carcinoma, ACD-RCC)の進展機構にKdn蓄積が関与するという仮説を立てた。ACD-RCCの患者組織検体の癌部から抽出した糖ペプチドに対し、質量分析を実施したがKdnを検出することはできなかった。他方、前年度までに患者組織のRNAseqおよびレクチンアレイ解析によりACD-RCCではシアル化が亢進することを報告しており、最終年度は、産業技術総合研究所(産総研)との共同研究により、糖鎖付加部位特異的グライコーム解析法(Glyco-RIDGE法)をACD-RCC組織由来のタンパク質に適応し、シアル化された糖ペプチドおよそ300分子を同定した。このうち4分子について、患者組織を用いた自動免疫染色プロトコールを確立した。さらに、透析腎癌患者の術前と術後の血清検体から、標的ペプチドを免疫沈降により回収し、レクチンアレイ解析を行なったところ、1分子において、透析腎癌患者血清中には認められるが、健常者血清中には認められない糖鎖修飾を見出した。この糖鎖修飾は術前検体と比べて術後検体で有意に減少または消失することを確認した。この糖ペプチドは画像診断が難しいACD-RCCの新規検査法の確立に有用である可能性が高く、筑波大学と産総研で特許出願を行った。今後、得られた知見をもとに多施設共同研究を実施予定である。
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