2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of new treatment for diabetic nephropathy using nanobiotechnology
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19K17732
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
広浜 大五郎 帝京大学, 医学部, 臨床助手 (20749353)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 高血圧 / ミネラルコルチコイド受容体 / MR / Rac1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、糖尿病性腎症進展の分子基盤をRac1-ミネラルコルチコイド受容体(MR)系を中心として明らかにし、効果が高く副作用の少ない新規糖尿病性腎症治療法を開発することを目的としている。 本年度は、昨年度に作製したヒト糖尿病性腎症と類似した病態を示すモデルマウス(db/dbマウスに対して片腎摘出+高食塩負荷を加える)の表現型解析をさらに進めるとともに、Rac1阻害薬、MR拮抗薬を長期投与し、表現型の改善を評価した。 まず腎皮質でのRac1-MR経路活性化について評価すると、本モデルマウスは糸球体だけでなく腎皮質でもRac1発現上昇、MR標的遺伝子Sgk1発現上昇が認められた。また、テレメトリー法で本モデルマウスの血圧を評価したところ、同処置を加えたコントロールマウスと比較して高血圧を認め、低カリウム血症を伴っていた。さらにSgk1標的分子として知られる上皮性Naチャネル(ENaC)発現の上昇が認められたことから、本モデルマウスでは遠位ネフロンのRac1-MR-ENaC経路活性化が、低カリウム血症、高血圧発症に寄与しているものと考えられた。 続いてRac1阻害薬、MR拮抗薬を本モデルマウスへ長期間投与し、モデルマウスの表現型が改善するかどうか評価した。すると、両薬剤によりモデルマウスの糸球体、遠位ネフロンSgk1発現は抑制され、低カリウム血症の改善、血圧上昇の抑制、糸球体障害の抑制が認められた。これらの結果から、糸球体、遠位ネフロン両者でのRac1-MR経路活性化が糖尿病性腎症進展に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作製したモデルマウスの表現型解析が順調に進み、腎糸球体、遠位ネフロンでRac1-MR経路活性化を呈することが確認できただけでなく、テレメトリー法で高血圧を呈することも確認できたため。さらに、Rac1阻害薬、MR拮抗薬で、本モデルマウスの表現型が改善されることも確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは作製したモデルマウスを用いて表現型解析を進め、糖尿病性腎症進展におけるRac1-MR経路活性化意義を検討してきたが、ヒトでも同様の機序が生じているかどうか未検討である。そこで、ヒト糖尿病性腎症組織を用い、ヒト糖尿病性腎症における同経路活性化意義を検討予定である。さらに、作製したモデルマウスを用いて、糸球体への選択的なsiRNA導入と、それによる表現型への寄与についても検討を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度もマウス維持管理費、試薬などの消耗品購入費用に充てる予定である。
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