2020 Fiscal Year Annual Research Report
塩喪失性腎症の新しい原因遺伝子群の発見とその病態メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K17733
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森 崇寧 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (00735813)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遺伝子解析研究 / 塩喪失性腎症 / 次世代シークエンサー / パネル遺伝子診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、未診断の塩喪失性腎症に新しい責任遺伝子を発見し、その主要な病態メカニズムを解明することである。究極的には希少疾患の枠組みを超えた予防医学的応用展開を目標としている。Gitelman症候群(GS)などに代表される84名の成人塩喪失性腎症患者のNGSパネル遺伝子スクリーニング結果をまとめた。約40%でGSの責任遺伝子であるSLC12A3(NCC)に責任変異が同定された一方で残り50%程度には周辺関連遺伝子を含めて変異は同定されず、それらの患者背景はいくつか臨床的な特徴を有し、新たな疾患概念として提唱できる可能性につき報告した(Mori T, HumMutat. 2021)。本報告に引き続きこれらの未解決群について米国ワシントン大学と提携し全エクソンシークエンスを実施し、複数の有望遺伝子候補を得たところである。またこれとは別に塩喪失性腎症の新たな候補として既に着目していた①CACNA1Hについてはノックアウト(KO)マウスの解析を通じて、KOでは腎臓におけるNCCのタンパク発現がわずかに低下していることを見出したが、表現系の差異同定までに至らず引き続き検証を行なっている。また②SQSTM1(p62)に関しては、内在性p62をknock downしたHEK293T cell linesを作成し、着目したC289Y変異を導入した変異p62の強制発現系にて、変異p62はNCCを正に制御するWNK4キナーゼタンパクの発現を有意に減少させることを確認した。しかしながら同一変異を保有しながら、真逆の表現系つまり塩分感受性高血圧症を呈する患者が同定され、他にmodifier geneと協調して病的意義を発揮する可能性を含め引き続き検討が必要な状況にある。腎臓病には未発見の責任遺伝子や病態が多くあり、引き続き未解決例の蓄積と再解析を経て、新規責任遺伝子発見を目指す。
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] 腎生検にてネフロン癆が疑われた成人症例における臨床;病理所見と遺伝的背景の関係.2020
Author(s)
藤丸拓也, 蘇原映誠, 森崇寧, 萬代新太郎, 千賀宗子, 菊池寛昭, 安藤史顕, 森雄太郎, 岡戸丈和, 頼建光, 川西 邦夫, 長田道夫, 内田信一.
Organizer
第63回日本腎臓学会学術総会2020.08 横浜, web
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