2019 Fiscal Year Research-status Report
The role of matrix metalloproteinase-2 in kidney fibrosis
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19K17738
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西濱 康太 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90832527)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腎線維化 / 糖尿病腎症 / マトリックスメタロプロテイナーゼ2 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
腎線維症は全ての腎疾患において不可逆的な腎障害の進行につながる病態であり、その機序にマトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)が細胞外器質の分解に加え、アポトーシスの制御も関与していると推定される。我々が開発したMMP2過剰発現(MMP2-TG)マウスを用いたin vivo実験では、すでに膵β細胞に対してAKTシグナルを介した抗アポトーシス作用が確認されていたが、新たに肺組織でもAKTシグナルの亢進が確認された。この結果はMMP2の過剰発現が腎臓を含む多臓器に対して抗アポトーシス作用をもつことの裏付けになると考えられる。MMP2は多くのシグナル伝達経路に関与しており、関連物質の動きを含めた多面的な検討が必要と考えられる。既報および我々の実施した予備実験では、transforming growth factor-β1(TGF-β1)や プロテインSとの関連が確認され、これらの物質がアポトーシスに与える影響も考慮したうえでMMP2の抗アポトーシス作用につき検討を進める必要がある。我々は腎糸球体特異的TGFβ1トランジェニックマウス(TGFβ1-TG)の開発も進めている。本マウスの血中および尿中腎障害マーカーの濃度は上昇し、組織学的には糸球体硬化症および尿細管間質線維化が進行することを確認した。Human primary podocyte(HPP細胞)に対しTGF-β1を付加し、TGFβ1はHPP細胞のアポトーシスを促進することを確認した。また、TGFβ1が病態の進行に大きな役割を果たす肺線維症の進行に、特定の細菌がもつペプチドが影響を与えることを解明することに成功した。MMP2と腎線維症の関連を追求するうえで検討すべき重要な要素を同定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスにおけるMMP2の過剰発現によるAKTシグナルの活性化が、既に我々が報告した膵β細胞だけでなく肺組織でも確認できたことは、MMP2の過剰発現が腎臓を含めた全身臓器のアポトーシスの制御にも影響を与えていることが推察される。また、MMP2と密接な関係にあるTGFβ1を介した臓器の線維化に、特定の細菌がもつペプチドが影響を与えることが解明できたことは、MMP2と腎線維症の関連を追求する際に考慮すべき新たな視点を得ることにつながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
hMMP2-TGマウス及び野生型マウス(WT)に浸透圧ポンプを用いたアンギオテンシンIIの持続投与で腎線維症の進行を促進し、腎障害の経時的な変化を確認する。さらにアポトーシスの抑制の有無につき評価する。また、ヒト血液検体を用いて、腎障害の程度に応じたMMP-2およびTGF-β、プロテインSなどの関連物質の濃度の変化についても検討予定である。今年度の実験で得られた臓器の線維化に関与する特定の細菌がもつペプチドの効果にMMP2が与える影響についても検討をする。
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Research Products
(10 results)