2020 Fiscal Year Annual Research Report
Key oles of podocyte detyrosinated alpha-tubulin in the development of proteinuria
Project/Area Number |
19K17744
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷村 智史 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (60794352)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポドサイト / 微小管 / 翻訳後修飾 / GSK-3β |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、尿蛋白の発生過程における糸球体ポドサイトの微小管を構成するαチューブリンの脱チロシン化の意義を検討することを目的としている。令和元年度は、蛋白尿を発生する各種マウスモデルにおけるポドサイト微小管αチューブリンの脱チロシン化の変化について検討を行った。 令和2年度は、ヒト由来不死化培養ポドサイトを用いて、ポドサイトの微小管αチューブリンの脱チロシン化の制御機構としてのPTEN/AKT/GSK-3βの役割を検討した。ポドサイトはRPMI-1640培地(10%FBSとITSを含む)を用いて33℃で培養して増殖させ、37℃に移して1週間分化させた後、PTEN阻害薬またはGSK-3β阻害薬を投与し、蛋白質を回収してWestern blotにより脱チロシン化αチューブリンやAKT/GSK-3βシグナルの活性化を評価した。分化したポドサイトでは、脱チロシン化αチューブリンに対する特異抗体を用いて、αチューブリンが著明に脱チロシン化していることが確認された。PTEN阻害薬であるVO-OHpic 1uMの投与はポドサイトでのAKTのリン酸化(活性化)を促進させ、GSK-3βのリン酸化(不活化)を引き起こした。GSK-3β阻害薬であるTDZD-8 5uMの投与はGSK-3βの発現自体を減少させ、αチューブリンの脱チロシン化を減少させた。一方で、もう1つのGSK-3β阻害薬である炭酸リチウム 100uMの投与はGSK-3βのリン酸化(不活化)を促進させ、αチューブリンの脱チロシン化を亢進させた。以上の結果から、PTEN/AKT/GSK-3β経路はポドサイト微小管のαチューブリンの脱チロシン化の制御に重要な役割を担い、GSK-3βの不活化(発現減少ではなく)はαチューブリンの脱チロシン化を亢進させることが示唆された。
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