2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化とオートファジーに介入する慢性腎臓病の治療法開発
Project/Area Number |
19K17745
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
岸 誠司 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (10519507)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 線維化 / DNA損傷 / 細胞老化 / TASCC |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に内皮機能障害とアテローム性動脈硬化の相乗効果が腎臓病に及ぼす影響を評価するためにendothelial nitric oxide synthase(eNOS) +/-マウスおよび apolipoprotein E (ApoE)+/-マウスの交配し、得られたWild Type (WT), ApoE-/-(ApoE KO)、 eNOS-/-ApoE-/- (DKO)(いずれも8-10週齢のオスマウス)の血圧・脂質を確認後片側尿管結紮(UUO)を行い、day10で屠殺したマウスの解析をさらに進めた。 WTマウスおよびApoE KOマウスに比較して、DKOはUUO後に生じる尿細管障害と間質の線維化が最も顕著であった 。さらに、SA-beta gal染色陽性領域の拡大が3群の中で最大であり、細胞老化の亢進を認めた。 次に DNA障害に加えて。申請者が明らかとした、腎臓の線維化の進行において近位尿細管上皮細胞において形成され、細胞老化様のフェノタイプを誘導するmTOR-オートファジー共存コンパートメント(TASCC:mTORおよびオートリソソームの集積する境界の明瞭な細胞内領域, Sci Transl Med. 2019 Jan 23;11(476):eaav4754.)の形成についての評価を行った。UUO後に生じる近位尿細管のgH2AXにて標識されるDNA損傷はDKO群で最大であった。DNA損傷が引き金となるTASCC形成もDKOで一番の増加を認めた。 ヒト腎生検標本を用いた検討においても臨床的に腎機能低下を認める症例においてSA-beta gal染色陽性領域が拡大しており、腎臓線維化と尿細管細胞老化の関係が示唆された。以上から、内皮機能障害とアテローム性動脈硬化の存在が、DNA損傷増大をきっかけとした細胞老化を介して腎不全を進行させることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響を受け、新たな実験の開始は困難な状況に置かれたが、これまでの結果をまとめ、英文誌に報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
腎構成細胞においても恒常的にDNA損傷は生じているが、不規則な生活習慣や若年での糖尿病や高血圧などの疾患が過剰なDNA損傷を若年のうちから生じている可能性がある。そこでDNA損傷と細胞老化、尿細管間質線維化の直接の関係の評価を進めていくこととする。また、近位尿細管に活性化を受け、間質の線維化を増悪させる周皮細胞とDNA障害の関係についても解析を進める。
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Causes of Carryover |
解析に使用したマウスはすでに屠殺まで終わった状態であり、マウスの維持管理費が抑えられたことと実験に必要な新たな大きな機器の必要がなかったことため。個体老化及び周皮細胞との関係を評価するために新規マウスの導入を予定する。
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Research Products
(6 results)