2020 Fiscal Year Research-status Report
A community-based cohort study to clarify reality of cardiovascular events in hemodialysis patients
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19K17747
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
北村 峰昭 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70646835)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血液透析 / 心血管イベント / 脳出血 / 大動脈狭窄症 |
Outline of Annual Research Achievements |
透析患者の心血管系イベントの中で、脳内出血を起こし長崎大学病院にて加療を行った症例のうち、血清カルシウムが高値である症例の方が、脳出血のリスクが高く、血腫の大きさにも関連し、発症後の生命予後が悪化していることが判明した。これは一般人口における脳出血患者で認められる傾向である低カルシウム血症が脳出血の予後に悪影響を及ぼすという内容とは逆の結果であった。一方で低カルシウム血症の患者の方が、脳出血発症前に血圧上昇を来すことが明らかになった。これら二つの事実についてBMC Nephrol. 2019 Jun7;20(1):210.ならびにClin Exp Nephrol. 2020 May;24(5):465-473で結果を発表した。 さらに、長崎腎病院における透析患者の生命予後について検討を行ったところ、スタチンを服用している症例で、有意にリスクの減少がみられることが判明し、その内容についてもPLoS One. 2019 Oct 22;14(10):e0224111. で発表した。 脳出血を発症後の集団の予後については、長崎市内の維持透析施設での追跡調査を行い、脳出血の重症度が高い症例ほど死亡リスクが高く、死因としては感染症死が多いことが明らかになった。現在論文化が終了し、まもなく英文誌へ投稿予定である。 また、大動脈弁置換術後の患者の追跡調査も現在進行中であり、患者背景(手術緊急度、術前のCa値、弁口面積など)が患者の長期予後に影響を及ぼすことが明らかになった。 なお、長崎市内全体の透析患者のコホートのデータベースについては引き続き作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
長崎大学病院や長崎みなとメディカルセンターで入院した血液透析患者のデータベース作成は比較的順調に進行していたが、他の血液透析施設でのデータベース作成が進捗していない。したがって、長崎市医療圏でのコホート研究については、まだ実際に行うことができていないのが実情である。現在後ろ向き研究を中心に行っている。例えば、長崎大学病院や長崎みなとメディカルセンターで大動脈弁置換術を行った血液透析症例の長期間予後についての検討を行っている。待機的な手術を行った症例の方が、緊急手術を行った症例に比較して明らかな生命予後の違いが明らかになっており、日本透析医学会等の学会発表に向けて準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
長崎市内の透析患者のコホートデータ収集は行いつつも、長崎大学病院や長崎みなとメディカルセンターで治療を行った症例の追跡調査に注力して、研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
学会出張のため予算を計上していたが、国際学会の参加が難しくなったことや、Web開催のため旅費として計上していた予算の使用がほとんどなかった。次年度以降は当初予定していた人件費や物品費における使用、ならびに論文作成で必要となる英文校正費や、論文掲載料に充当する予定である。
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