2020 Fiscal Year Research-status Report
microRNA/HMGB1シグナリングに着目した溶血性尿毒症症候群の治療法開発
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19K17748
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
前田 亮 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60792025)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 溶血性尿毒症症候群 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
典型的溶血性尿毒症症候群(HUS)は小児期に発症する急性腎障害の代表的疾患であり、未だ特異的な治療法が確立されていない。大腸菌感染に起因するHUSは微生物や自己由来の成分を認識し炎症応答を誘導する自然免疫との関連があり、我々はHUSモデルマウスにおいて自然免疫の主要な分子であるHMGB1とそのシグナリングが病態に関与することを明らかにした。 これまで私たちはHUSモデルマウスにおいてHMGB1シグナリングを制御する標的マイクロRNA(miRNA)を同定しmiR-21をはじめとしたmiRNAの発現変化をアレイ解析と同様に確認した。fold changeの大きかったmiR-21に着目し、HUSにおけるmiR-21の役割を解明すべく同一家系で作成したmiR-21欠損マウスと野生型マウスでHUSモデルマウスを作製したところ、miR-21欠損HUSモデルマウスは野生型HUSモデルマウスに比べ有意に体重減少率が改善し軽症化が得られ、さらにIn situ hybridyztionでも野生型HUSモデルマウスのみでmiR-21の組織内の発現を確認した。 現在mRNAのarray解析とmiRNAを予測するデータベースの結果からmiR-21の関連mRNAであるDusp8に着目している。Dusp8はMAPキナーゼを調節する遺伝子でありHMGB1シグナリングにも関与することが考えられている。同遺伝子がkidney injury modelの病態に関与している可能性が示唆されたため、今後さらにHUSの病態解明を行っていく。HMGB1シグナリングとmiR-21の関与、miR-21に関わるmRNAと蛋白量の比較検討や組織学的評価を検討していき、miR-21がどのようにHUSの病態と関わっているか明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
mRNAのarray解析とmiRNAを予測するデータベースの結果から、fold changeの大きかったmiR-21に着目しmiR-21の関連遺伝子であるDusp8に着目している。HUSモデルマウスの重症度に変化などは今後の検討が必要な状況である。 研究者は新型コロナウィルス感染症の対応にも追われている状況であり、進捗状況はやや遅れていると判断した。今後さらにHUSの病態解明を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
miR-21の関連遺伝子であるDusp8がHUSの病態にどのように関わっているのか、免疫染色やWBで明らかにし、発現蛋白の抑制/促進を行うことでどのように病態が変化するのか評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
アレイ解析の結果の解析までに時間を要し検討ができなかった。 次年度はさらに検討を進めていく。
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