2020 Fiscal Year Research-status Report
CKD-MBDにおける骨病変と破骨細胞・骨芽細胞カップリング因子の検討
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19K17749
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
永田 友貴 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20779483)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 破骨細胞/骨芽細胞カップリング / 副甲状腺ホルモン / CKD-MBD / 副甲状腺機能亢進症 |
Outline of Annual Research Achievements |
副甲状腺ホルモン(Parathyroid hormone; PTH)は骨に作用し、骨芽細胞分化や骨形成を促進する。活性化された骨芽・骨細胞ははReceptor Activator of Nuclear Factor Kappa-B ligand (RANKL)発現が増加し、破骨細胞前駆細胞に発現する受容体のReceptor Activator of Nuclear Factor Kappa-B (RANK)と結合することで、破骨細胞形成および骨吸収を促進する。 骨リモデリングにおいて、破骨細胞/骨芽細胞カップリングの平衡状態が保持されているが、病態モデルにおけるそれらの動態は詳細に検討されていない。近年報告されたephrinB2/EphB4は双方向性カップリング因子のひとつであり、それらを介し破骨細胞は骨芽細胞分化と石灰化を促進する一方、骨芽細胞は破骨細胞分化や骨吸収を抑制する。以前の我々の検討により、破骨細胞由来EphrinB2発現は骨代謝と並行して増減することが示された。PTHによって骨芽細胞のRANKL発現が上昇することで増加した破骨細胞のEphrinB2は、PTHと協調して骨芽細胞分化や石灰化を促進させることが明らかとなった。慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(Chronic Kidney Disease Mineraland Bone Disorder: CKD-MBD)では、腎機能低下に伴う高リン血症、活性型ビタミンD低下および低カルシウム血症によって、PTHが上昇し、高回転型骨病変の原因となる。我々はCKDモデルにおいて、骨でのephrinB2発現増加を確認した。本研究では、PTHにより増加した破骨細胞/骨芽細胞カップリング因子ephrinB2/EphB4の骨吸収/骨形成への関与を検討し、CKD-MBDにおける骨病変の病因の一端を明らかとすることが目的である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①破骨細胞特異的ephrinB2ノックアウトマウスの作成 既報では破骨細胞特異的ephrinB2ノックアウトマウスは表現型は部分的に骨減少が認められるのみであるが、PTHにて骨代謝亢進状態の検討は行われていない。先行実験では、PTH持続投与したマウス骨組織ではephrinB2/EphB4発現が増加している。2020年2-3月より、現在Cre-loxPシステムによる破骨細胞特異的ephrinB2ノックアウトを作成しており、現在破骨細胞特異的ephrinB2ノックアウトマウスが準備できつつある。 ②二次性副甲状腺機能亢進症を呈するCKDモデルの作成 当教室ではCKDモデルとなる片腎摘出および対側腎動脈分岐部の結紮によるCKDマウスの作製を行っており、血清クレアチニン、尿素窒素ともに2倍程度の有意な増加を認める。同マウスでは副甲状腺ホルモン上昇および血清ALP上昇が認められており、CKD-MBDに伴う骨代謝の亢進が確認されているが、血清リンに有意な差がなかった。そのため、高リン食負荷を行ったところ、血清リン値は有意に増加し、二次性副甲状腺機能亢進症の増悪を認めた。上記①が安定的に作成でき次第、破骨細胞特異的ephrinB2ノックアウトマウスでの腎不全モデルを作製し、WTのCKDモデルと比較し、ephrinB2/EphB4シグナルがCKD-MBDにおける骨病態に与える影響について検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
破骨細胞特異的ephrinB2ノックアウトマウスの基礎的な骨代謝状態を検討した後に、本マウスにPTH持続投与を行い、骨吸収/骨形成に与える影響を検討する。in vitroでは破骨細胞特異的ephrinB2ノックアウトマウスの骨髄単球から破骨細胞を作製し、分子生物学的な検討を行う。破骨細胞/骨芽細胞共培養において、PTHによって骨芽細胞RANKL発現が増加し、破骨細胞の形成の増加するが、この共培養等を用いて、破骨細胞/骨芽細胞間のephrinB2/EphB4シグナルが欠損した状態でのPTHによる骨吸収/骨形成の変化およびRANKL発現を介した機序の検討を行う。また、PTH持続投与による骨代謝を亢進状態では、他の破骨細胞/骨芽細胞カップリング因子であるCthrc1/Waif1発現も増加しており、CKDモデルでの検討も行う。二次性副甲状腺機能亢進症を呈するCKDモデル骨組織ではephrinB2増加を認めているが、破骨細胞特異的ephrinB2ノックアウトマウスではどうなるかを検討する予定である。また、高リン食負荷で二次性副甲状腺機能亢進症を増悪させて比較検討も行う。機序として、PTH持続投与時に認められたRANKL発現の増加を介していることが想定されるため、in vivoで抗RANKL中和抗体を上記マウスに投与し、破骨細胞形成および分化を抑制することでephrinB2/EphB4発現に変化があるかについても検討する。最終的に破骨細胞特異的ephrinB2ノックアウトマウスでの腎不全モデルとWTのCKDモデルと比較することで、ephrinB2/EphB4シグナルがCKD-MBDにおける骨病態に与える影響について検討する。
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Causes of Carryover |
令和2年度予算の残額40582円とほぼ予定通りの予算執行額であり、残額を合算して、引き続き計画通り研究を遂行する
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Research Products
(2 results)