2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K17761
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 貴之 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (10804726)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 皮膚悪性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性腫瘍の患者数は軒並み増加傾向にあり、今後もますます増加することが予想される。近年、抗PD-1抗体などの免疫療法が悪性腫瘍に対して高い効果を示すことが明らかとなったが、不応例も少なくないため、悪性腫瘍に対する詳細な免疫機構の解明とそれに基づく新たな治療法や効果予測に関するバイオマーカーの開発が望まれる。メモリーT細胞は悪性腫瘍に対する獲得免疫の主体を担う細胞であるが、血液中に循環し、各臓器と血液、リンパ節などへ行き来するセントラルメモリーT細胞と、各臓器にとどまり、血液中に循環しないレジデントメモリーT細胞に大別される。さらにレジデントメモリーT細胞はCD103陽性レジデントメモリーT細胞とCD103陰性レジデントメモリーT細胞に分類される。しかし、ヒトの皮膚癌においてこれらの異なるメモリーT細胞が腫瘍免疫に関して、それぞれどのような役割を持っているか、という点に関しては明らかとなっていない。われわれは、皮膚癌から採取した小検体からT細胞の単離・培養を確立させ、その細胞を用いたフローサイトメトリー法および組織切片を用いた蛍光免疫染色法を行い、興味深い結果を見出してきた。今後、皮膚癌に浸潤するメモリーT細胞の特徴を明らかにするために、皮膚に存在するセントラルメモリーT細胞、レジデントメモリーT細胞における各種表面抗原、細胞内分子の発現などをmRNA、マイクロアレイ、フローサイトとりー、免疫組織染色などを用いて網羅的に解析し、それぞれのサブセットの特徴を明らかにすることを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フローサイトメトリーを用いたメモリーT細胞の表面抗原の解析はおおむね順調に進んでいる。皮膚悪性腫瘍からとった検体からフローサイトメトリーを用いてTリンパ球の単離を何度か試みているが、mRNA発現解析やマイクロアレイ解析に十分な量の細胞の単離ができず単離や培養の条件検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
mRNA発現やマイクロアレイ解析に必要なメモリーTリンパ球を単離するために、皮膚悪性腫瘍から採取する検体を可能であれば大きくする。また、培養する際のサイトカイン濃度の調整や培養液の交換の頻度の調整を行い、単離できるメモリーTリンパ球の数が増えるようにする。
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Research Products
(5 results)