2019 Fiscal Year Research-status Report
真菌の排除における表皮細胞の役割:表皮細胞の興奮と死、排除される真菌の生体内観察
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19K17770
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 光麻 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(RPD) (40838801)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カンジダ / 免疫 / 自然免疫 / 角化細胞 / 上皮細胞 / 細胞死 / カルシウムイオン / 生体内観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、真菌排除における表皮細胞の役割を明らかにすることである。そのため、以下のような研究を計画していた。 まず、二光子顕微鏡による生体内観察で、カンジダの正常な排除過程を観察する。カンジダに接する表皮細胞の興奮(細胞内カルシウムイオン濃度: Ca2+の上昇)、好中球の浸潤、表皮から排除されるカンジダの形態的変化を野生型マウスで検討する。次に、表皮細胞が十分に機能を果たせない疾患モデルとして、KID症候群(角膜炎/魚鱗癬/難聴症候群)の慢性皮膚カンジダ症を用い、表皮細胞の早期の細胞死がカンジダの排除不全につながる、という仮説を生体内観察で検証する。続いてRNA-seqと組織の免疫染色を用いて、野生型では働くにも関わらず、表皮細胞が早期に細胞死に陥ることでKID症候群では働かない生体防御の経路を明らかすることを目指す。 本年度の研究は、カンジダ易感染モデルとしてのKID症候群モデルマウスに、カンジダ感染を起こす前提となる、角化更新状態の形成メカニズムの解明に多くの労力を割いた。 その一方で、KID症候群患者の、カンジダ感染部位に極めてユニークな病変の形成が見られることに気づき、その解明のための採剤、初期検討を行い、次年度につながる結果を得た。具体的には、カンジダ感染から回復した部分の皮膚に、正常皮膚のような部分が多数出現していることを見出した。同部位の存在は、カンジダ感染によって、体細胞突然変異が誘発されたことを強く示唆し、さらにカンジダによる炎症が細胞クローンの選択圧となった可能性が考えられる。今後、同部位の遺伝子解析により、より一般的な課題である炎症と細胞クローンの生存との解明にむけて研究を展開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に予定していた解析の前提となる動物モデルの理解のため、多くの労力が必要となり、申請内容の進展は遅れたと言える。 その一方で、実際の患者に極めてユニークな症状が現れていることに気づき、本研究の課題解明に重要な糸口になることが期待される。 当初の研究計画の方向通りではないが、課題の解明に向けての歩みは順調といえると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で明らかにした、KID症候群モデルのCa2+ dynamicsをもとに、以下の検討を進める。 野生型マウスを用いた検討:まず、カルシウム指示蛋白であるGCaMP3を全身に発現するマウスに、蛍光色素を発現するカンジダを感染させ、二光子顕微鏡で観察し、どの細胞がカンジダの侵入に最初に応答して活性化するのかを同定する。次に、活性化する細胞と浸潤する好中球との位置関係を好中球を標識できるLysM-GFPマウスを用いて検討する。さらに、カンジダの貪食・断片化・分解といった排除過程が好中球だけでなく、表皮細胞内で起こるのかどうか、検討する。 KID症候群モデルマウスにおける慢性カンジダ感染症の病態解析: 表皮特異的に変異コネキシンを発現するマウスにカンジダを感染させる。カンジダの侵入による表皮細胞の細胞質Ca2+濃度上昇の程度を検討する。次に、細胞死の誘導の有無、位置を、tdTomato全身発現マウスによる形態観察・FUCCIマウスによる細胞死の可視化・SCATマウスによるアポトーシスの可視化、の3つの方法を用いて、検証する。さらに、好中球浸潤の数・位置を、野生型とで比較検討する。 また、患者から得たサンプルの遺伝子解析を進める。具体的には、コネキシン26のmRNAの中での、変異型/健常型の比率を調べる。もし、その比率に異常がなければ、ホールエクソームシークエンスによる網羅的な体細胞突然変異の検索を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画していた実験の前提となる、KID症候群モデルのCa2+ dynamicsの検証に多くの労力を割いたため、本年度に必要となった研究費は予定より少なくなった。 一方で、次年度に集中して予定していた実験を行うことと、予定よりも拡大した研究テーマとなり、次年度には予定よりも多い研究費が必要となるため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(7 results)