2023 Fiscal Year Annual Research Report
新たな治療法の開発に向けた日光角化症における日光変性の表皮への作用機序の解明
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19K17781
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 裕史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (30570709)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日光角化症 / 有棘細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年4月より2020年3月までに当施設を受診され、日光角化症及び日光角化症をベースとした有棘細胞癌に対して手術を行った85例(日光角化症62例、有棘細胞癌23例)を対象とした。これらの症例の切除標本ブロックを入手し、免疫染色を施行した。CD3の免疫染色によって真皮に浸潤するリンパ球数を確認したところ、日光角化症では表皮細胞の異型性が強いもの程浸潤リンパ球数が乏しかった(Dunnett's test, p<0.05)。これはCD8陽性細胞も同様であった(Dunnett's test, p<0.05)。一方、Foxp3によって制御性T細胞を染色したところ、それとは対照的に異型性が強い症例ほど浸潤する制御性T細胞数が多く観察された(Dunnett's test, p<0.05)。更にPD-L1についても検討を行ったところ、制御性T細胞と同様の結果が得られた(Dunnett's test, p<0.05)。次に弾性線維の変性と日光角化症の重症度、細胞浸潤数を検討したところ、日光角化症の重症度と弾性線維の変性Gradeとの間に相関が見られ(Spearman's rank correlation coefficient, r=0.640)、更に弾性線維の変性が強いほど真皮浅層に浸潤するリンパ球数は減少し(Dunnett's test, p<0.05)、一方制御性T細胞、PD-L1陽性細胞は増加していた(Dunnett's test, p<0.05)。以上より、日光角化症においても免疫細胞がその病勢のマーカーとなることが分かり、日光変性とも相関が得られる事がわかった。
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