血管肉腫に対する抗VEGF抗体/抗IL-17抗体併用による腫瘍増殖抑制効果の検討

2021 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19K17785
• Research Institution: Kitasato University
• Principal Investigator: 増澤 真実子 北里大学, 医学部, 講師 (20365084)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 血管肉腫 / VEGFR阻害薬 / パゾパニブ

Outline of Annual Research Achievements

VEGFR阻害薬であるパゾパニブは、第III相国際共同臨床試験のPALETTE試験 (Graaf et al. Lancet. 379:1879- 1886, 2012)の結果に基づき進行性悪性軟部腫瘍に対して保険承認されたことから、血管肉腫においても使用可能となった。しかし、血管肉腫に対してのパゾパニブの効果について検討された非臨床/臨床試験の報告はなくその効果は明確ではない。またPALETTE試験では無増悪生存期間が4.6ヶ月で短期に治療抵抗性が生じることが推測される。
この研究では、第一に当科で樹立したマウスおよびヒト血管肉腫細胞株を用いてパゾパニブによる腫瘍増殖抑制効果をin vivoおよびin vitro実験で検証した。ヒト血管肉腫マウスモデル(NOD/SCIDマウスにヒト血管肉腫細胞株WB-SCIDを皮下移植)およびマウス血管肉腫モデル(BALB/cマウス にマウス血管肉腫細胞ISOS-1を皮下移植)のいずれにおいても、パゾパニブ投与群では陰性コントロール群と比較し腫瘍細胞の増殖抑制が認められた。また、ヒト血管肉腫細胞株ISO-HASおよび、ヒトリンパ管肉腫細胞株Mo-LASを用いたパゾパニブ添加による細胞生存率は濃度依存性に低下がみられ、10μMでいずれも細胞生存率は約50%であり、パゾパニブによる腫瘍増殖抑制効果が認められた。
第二にパゾパニブの治療抵抗性について、がん微小環境においてはTh17細胞が産生する可溶性因子インターロイキン-17(IL-17)がVEGF阻害薬の効果を抑制することが知られており、これに対してパゾパニブに抗IL-17抗体併用による治療効果を検証したが、パゾパニブ単独投与群とパゾパニブ＋IL-17併用群に腫瘍細胞の増殖抑制効果は認められなかった。