2020 Fiscal Year Annual Research Report
WNT10A欠損マウスを用いた発毛および男性型脱毛症の機序の解明
Project/Area Number |
19K17789
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田崎 貴嗣 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (10800782)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | WNT10A |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の昨年の検討では、WNT10A-KOマウスのオスにおいて野生型(WT)に比し、17beta-estaradiolの減少、testosteroneの増加が有意に認められ、男性型脱毛症とWnt10aとの関連を裏付ける結果であった。Wnt10aとエストロゲン産生の関連を詳細に検討するため、我々はWNT10A-KOマウスのメスを用いて実験を追加した。 WNT10A-KOマウスのメスはWTに比し、組織学的にごく早期(8週齢)から原始卵胞の減少、閉鎖卵胞の増加を認め、性早熟の状態が示唆された。また子宮内膜の萎縮、膣細胞診を用いた検討で性周期の消失が見られ、いずれもエストロゲン減少が示唆された。実際、メスでもオスと同様にELISA法で、17beta-estaradiolの減少、testosterone、progesteroneの増加が認められた。LH、FSHには有意差は見られなかった。加えて卵巣において、17beta-estaradiolの変換酵素であるcytochrome P450 19a1 (cyp19a1)の有意な減少が確認できた。Cyp19a1の転写に関与するbeta-catenin, CREB1, SF-1のうち、beta-cateninにのみ有意な減少を認めた。以上から、WNT10Aの欠損によってbeta-cateninの活性化が抑制され、Cyp19a1の発現減少、エストロゲン産生の減少が起こったことが推察された。 皮膚ではCyp19a1は毛包周囲の皮膚線維芽細胞で発現していることが既に報告されており (Molecular and Cellular Endocrinology, 2012; 362, 19-28)、今後は卵巣で得られたデータをもとに、皮膚におけるWnt10a-beta-catenin-cyp19a1 pathywayの解析を行っていく予定である。
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