2019 Fiscal Year Research-status Report
Generation of novel mouse model for psoriasis focusing on regulatory T cell
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19K17790
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
氏家 韻欣 北海道大学, 大学病院, 医員 (40822705)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乾癬 / 制御性T細胞 / Stat6 / T-bet / Foxp3 / イミキモド / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、転写因子(Foxp3, Stat6, T-bet)トリプルノックアウトマウス(=Stat6KO/T-betKO-scurfyマウス)を作製した。これはTregを欠損するscurfyマウスであるため自己免疫を自然に生じるが、Th1およびTh2が抑制されているため、通常のScurfyマウス(2か月程度生存することが多い)より寿命が長いことを予想していた。しかし、予想に反しStat6KO/T-betKO-scurfyマウスは平均25日程度で死亡した。しかし、Stat6KO/T-betKO-scurfyマウスの皮疹は通常のscurfyマウスより軽微であった。このStat6KO/T-betKO-scurfyマウスのCD4+T細胞のサイトカイン産生を解析したところ、IFN-gは7~8%、IL-4は0.4~0.7%と通常のscurfyマウスに比べて低値だったのに対し、IL-17Aは7~9%と予想通り高値だった。皮膚を採取し組織学的に検討したが、乾癬に見られるような表皮肥厚やは見られなかった。このStat6KO/T-betKO-scurfyマウスが早期に死亡してしまい観察期間が不足しているためと考えられた。 次に、イミキモド塗布により乾癬を誘発する実験を行った。当初、Stat6KO/T-betKO-scurfyマウスにイミキモドを塗布する計画であったが早期に死亡してしまうためイミキモドの塗布は困難であった。そこで、Stat6KO/T-betKOマウスにイミキモドを1週間背部に連日塗布し野生型マウスと比較した(n=2)。皮膚の変化を比較したところ、Stat6KO/T-betKOマウスと野生型マウスに有意差はなかった。次に、脾臓と病変部皮膚のサイトカインを測定すると、Stat6KO/T-betKOマウスの皮膚では野生型皮膚に比較してIL-17が多い傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
転写因子(Foxp3, Stat6, T-bet)トリプルノックアウトマウス(=Stat6KO/T-betKO-scurfyマウス)の作製に成功したが、前述の通り寿命が予想より短いため乾癬画していた表現型や免疫応答の解析が十分に実施できなかった。イミキモド塗布による乾癬誘発実験は、野生型マウスを用いた予備実験により実験プロトコールを確立するところまでは順調に進んだが、実験に必要なStat6KO/T-betKOマウスの繁殖に難渋しているため、実験に必要なマウスの数が十分に確保できておらず必要回数の実験が実施できていない。計画していた実験は一通り実施できているが、いずれもマウスの匹数が目標に到達しておらず、「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に使用するマウスの飼育スペースを拡充し、転写因子(Foxp3, Stat6, T-bet)トリプルノックアウトマウス(=Stat6KO/T-betKO-scurfyマウス)やStat6KO/T-betKOマウスの十分な確保に努める。Stat6KO/T-betKO-scurfyマウスの皮疹の性状を肉眼的に評価し、皮疹の面積を継時的にスコア化する。また、病理組織学的評価を行い、乾癬に類似した組織学的変化がみられるかどうか観察する。皮膚に浸潤する炎症細胞(特にCD4+T細胞)のサイトカイン産生を、フローサイトメトリー法で検討する。その際、皮疹が強くかつ炎症細胞を抽出しやすい耳介の皮膚を用いる。また、血中サイトカイン濃度(IL-17A, IL-23, IL-4, IFN-gなど)をELISA法で測定する。以上より、本マウスモデルと実際の乾癬との類似性を評価するとともに、病変部リンパ球の炎症性サイトカイン産生と病理組織像の相関関係を解明する。 また、Stat6KO/T-betKOマウスにイミキモドを外用し、乾癬を誘導する実験を引き続き行う。その乾癬モデルマウスの皮疹や免疫応答をイミキモド外用野生型マウスと比較する。次に、本研究で作成した新規乾癬マウスモデルにおけるTreg細胞療法の有効性を検討する。Stat6KO/T-betKO-scurfyマウスはTreg欠損による免疫自己寛容の破綻を利用して皮膚を含む全身に自己免疫応答を誘導するマウスモデルである。そこに野生型マウスあるいはFoxp3-GFPマウスから精製、培養したポリクローナルTregを移入することで、皮膚に対する自己免疫応答である乾癬様皮疹を抑制できるかどうか解析する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、実験に必要な実験に必要なStat6KO/T-betKOマウス及びStat6KO/T-betKOマウスの繁殖に難渋しているため、予定していた回数の実験が実施できず、物品費が予定を大きく下回ったためである。現在、本研究に使用するマウスの飼育スペースを拡充しマウスの十分な確保に努めている。これに伴い、次年度はマウス飼育費用や物品費が増加する予定である。また、制御性T細胞投与による治療実験として、Foxp3-GFPマウスを用いる計画を新たに追加した。このマウスを使用することで、より精製度の高い制御性T細胞を採取することができるようになる。このFoxp3-GFPマウスの購入費用を支出する計画である。なお、参加予定であった米国研究皮膚科学会が中止となったため、日本研究皮膚科学会や水疱症研究会への参加を予定している。
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