2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of the development of pressure ulcer by zinc deficiency
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19K17793
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
上原 顕仁 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (70828508)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 褥瘡 / 亜鉛欠乏 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
亜鉛は生体において必須な微量元素である。高齢者では亜鉛欠乏症が多く、褥瘡患者では血清亜鉛値が低いことなどから「亜鉛欠乏によって褥瘡が生じやすいのではないか」と想定されているが、実際にこのことを科学的に証明し、機序を解明した報告はない。そこで、本研究では、亜鉛欠乏マウスと正常マウスを用いて、皮膚の圧迫による褥瘡モデルを作製して、実際に亜鉛欠乏によって褥瘡が生じやすいのか、また、その機序について解明した。亜鉛欠乏食または亜鉛含有食を2週間与えたマウスを用いて、マグネットを用いた皮膚の圧迫による褥瘡モデルを作製し、圧迫部に生じる床ずれ(褥瘡)の面積を比較した。その結果、亜鉛欠乏マウスでは、皮膚の圧迫による床ずれ(褥瘡)の大きさが有意に増大し、且つ治癒が遷延することを見出した。褥瘡部位において、血管傷害量及びアポトーシス細胞数は亜鉛欠乏マウスで、正常マウスと比べて増加していた。OKD48マウスにおいて、皮膚圧迫によって誘導された褥瘡部位の酸化ストレスシグナルは、亜鉛欠乏マウスにおいて有意に増強していた。このことから、亜鉛欠乏によって生じる酸化ストレスの増加が治りづらい床ずれのメカニズムの一つと考えられた。褥瘡部位における細胞外ATP量を測定したところ、亜鉛欠乏状態で増加することを見出した。亜鉛欠乏状態によって、皮膚圧迫部でCD39を発現するランゲルハンス細胞数が減少することを見出した。これらの結果から、ATP分解酵素が、亜鉛欠乏によって低下・機能不全となるため、細胞外ATPが分解されず、増加して炎症が強く引き起こされると考えられた。この機序も床ずれが治りづらいメカニズムの一つと考える。亜鉛欠乏マウスに対する亜鉛の経口補充による治療効果について検討した。その結果、亜鉛の経口補充によって、亜鉛欠乏マウスで増悪した褥瘡が著明に改善した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画していた研究はほとんど遂行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果をもとに、さらに発展させた研究を行う。具体的には、亜鉛の外用の治療効果や褥瘡の程度を変化させた研究を行う。
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Causes of Carryover |
理由:予定していた予算に基づき使用していたが、未使用の予算が生じたため。 使用計画:予定している研究を遂行するための物品の購入に使用する。
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