2020 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠・出産に着目した高増殖能を有する表皮幹細胞のCharacterization
Project/Area Number |
19K17796
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一條 遼 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 助教 (50804382)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 皮膚 / 表皮幹細胞 / 妊娠 / 張力 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚は、体の生理変化や体形変化に応じて拡張・収縮するダイナミックな臓器である。このような生理的な皮膚リモデリングは、皮膚組織を構成する多様な細胞の不均一性、階層性、相互作用の時空間的な変化により誘導されると予想されるが、それを担う多細胞ネットワークや制御機構は不明である。皮膚は表皮、真皮、皮下組織から形成され、表皮はさらに角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4層に分類される。表皮基底層には表皮幹細胞が存在し、増殖と分化を繰り返すことで表皮の恒常性を維持する。我々は以前、急速に拡張する妊娠期の腹部皮膚において、表皮幹細胞から増殖性の高いTbx3陽性の基底細胞が産生されることを見出した。今回、我々はTbx3+基底細胞の細胞運命と出現機構を解析した。まず、Tbx3+基底細胞は周囲の細胞にADAM8の発現を誘導し、EGF-ERKシグナルを活性化して表皮増殖クラスターを形成することを明らかにした。また、単一細胞系譜解析の結果から、Tbx3+基底細胞は出産後には分化して表皮から排除されることが分かった。一方で、足底部表皮のように増殖性が高い領域ではTbx3+基底細胞が幹細胞として存在していた。Tbx3+基底細胞の時空間に依存した出現機構を明らかにするため真皮の単一細胞遺伝子発現解析を実施した結果、妊娠期には血管新生に関与する血管クラスターの割合上昇が認められた。また、血管新生を阻害すると妊娠期におけるTbx3+基底細胞の出現が抑制され、血管新生を誘導するとTbx3+基底細胞が誘導された。さらに腹側皮膚に張力を負荷して伸展させたところ、血管新生が誘導され、それに依存してTbx3+基底細胞が出現した。これらの結果から、血管が真皮と表皮のリモデリングを誘導し、体表領域や生理変化に合わせた皮膚の形態や伸展を制御していることが明らかとなった。これらの成果は皮膚の再生医療に貢献できると考えられる。
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Research Products
(1 results)