2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K17797
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
鳥山 真奈美 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (30773121)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 一次繊毛 / シグナル伝達 / 皮膚疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞外シグナルを受容する「アンテナ」として機能する一次繊毛による、表皮樹状細胞(DC)での増殖促進制御機構を解明し、ヒト表皮の恒常性維持機構を理解することを目的としている。当研究を始めるまでに、申請者はヒトDCの一次繊毛が細胞成熟に応じて減少すること、またアトピー性皮膚炎(AD)の病変部において、一次繊毛をもつ未成熟DCが健康組織と比較して顕著に増加していることを見出していた。しかし、DCの成熟や増殖を制御する分子機構は明らかではないため、当該年度は一次繊毛を介した増殖シグナルの同定を試みた。
血小板由来成長因子受容体PDGFRalphaは一次繊毛に強く局在するチロシンキナーゼ型受容体であり、細胞の増殖を強く誘導する。初代DCをPDGFRalphaのリガンドであるPDGF-AAのみで刺激しても細胞増殖は有意に促進されなかったが、一次繊毛の形成を促進するGM-CSFと共刺激すると、細胞増殖能が相乗的に促進された。また、この相乗的な増殖促進効果は、一次繊毛の形成を阻害するsiRNAであるsiIFT88の事前処理によりキャンセルされた。このことから、一次繊毛上のPDGFRalphaはDCの増殖を制御することが示唆された。
更にPDGFRalphaシグナルの強弱がアレルギー抗原の有無により変化するのか検討するために、ADをはじめとするアレルギーを誘発することで知られるダニ抗原と、免疫賦活物質(アジュバント)で初代DCや表皮を構成するケラチノサイト細胞を刺激し、PDGFRalpha、PDGF-A発現量の変化を解析した。しかし、どの刺激物質を投与してもPDGFRalphaの発現量は変化しなかった。このことより、PDGFRalphaそのものの発現量の変化ではなく、一次繊毛の形成がDCの増殖制御に関わる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究実験に加え、さらに追加の実験を行うことができた。本成果をまとめてBioRxivに論文を公開した。ただし、公開論文に研究成果をさらに追加し、他の雑誌への投稿も並行して行っているため、引き続き研究を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚疾患における一次繊毛の生理的役割をより詳細に解明するために、樹状細胞由来一次繊毛構成分子の同定を試みている。本解析を終了し、学術論文(査読あり)として雑誌投稿を目指すとともに、査読後、要求される実験を遂行する。
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