2019 Fiscal Year Research-status Report
ケラチノサイト由来神経ペプチドによる皮膚2型炎症反応制御機構の解明
Project/Area Number |
19K17800
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松尾 佳美 広島大学, 病院(医), 助教 (50754355)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自然免疫 / 自然リンパ球 / 神経ペプチド / マスト細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで神経ペプチドであるNeuromedin U (以下NMU)は主に末梢神経から分泌され、2型自然リンパ球(ILC2)を活性化することが報告されているが、我々の研究では皮膚においてはケラチノサイトにNMUが豊富に発現していることを報告している。そのため、皮膚ケラチノサイトが組織内外の環境変化を敏感に感知し、マスト細胞やILC2等の免疫細胞とコミュニケーションをとるためのツールの1つとしてNMUが重要な役割を担っているのではないかと考えた。そこで、本研究では、皮膚におけるNMUの局在と放出機構の解明、さらに皮内に放出されたNMUが皮膚マスト細胞や ILC2を介して好酸球やT細胞を活性化し、皮膚における2型炎症反応を誘導する仕組みを明らかにすることを目的とした。 本年度は、ヒト末梢血よりILC2をセルソーターで分離し、γ線を当てたフィーダー細胞であるPBMCとIL-2添加により培養増殖する方法を確立した。そして、回収したILC2にすでに自然免疫を活性化する報告のある上皮由来サイトカインIL-33とNMU刺激を行いサイトカインの産生放出について検討した。定量的PCRでは同定が困難であったが、いずれの刺激においてもIL-13が放出されることを上清のELISAにて確認した。 また、末梢血ILC2へのNMU受容体(NMUR1)の発現をPCR法により確認した。以上のことから、これまでマウスの消化管や肺組織のILC2でのNMUによる活性化の報告がされていたが、ヒトの末梢血のILC2においてもNMUによる活性化が示され、ヒトにおける2型炎症におけるNMUの重要性が示唆される所見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間の達成目標として(1)皮膚組織におけるNMUの局在とその産生・放出機構の解明 (2)NMUによるヒト皮膚マスト細胞・ILC2の活性化機構の解明 (3)ケラチノサイト-免疫細胞の3次元培養評価モデルの開発とNMU刺激に伴うマスト細胞・ILC2を介した2型炎症の誘導について予定していた。1年目の今年はILC2の分離、培養の手技獲得にやや時間を要したが、(2)は順調にデータが得られており、(1)(3)に関しても予備実験に着手しており、概ね順調に遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は皮膚組織におけるNMUの局在とその産生・放出を評価、および3次元培養表皮を用いてNMUの表皮からの放出が免疫細胞の活性化につながるかを検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は当初、ケラチノサイトとILC2の研究を同時並行で行う予定であったが、ILC2の分離、培養の手技獲得にやや時間を要し結果としてILC2中心の研究となった。そのため、支出が予定よりも減ったが、次年度は皮膚組織やケラチノサイトを用いた研究を行う予定であり、試薬や物品購入のために使用を予定している。
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