2019 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集技術を用いた白血病幹細胞の分化制御に関わる因子の同定と機能解析
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19K17824
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
倉吉 健太 金沢大学, がん進展制御研究所, 博士研究員 (00802901)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 白血病幹細胞 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性骨髄性白血病(AML)は異常増殖と分化不全を特徴とする悪性腫瘍であり、白血病幹細胞が存在することが知られている。我々は、転写因子FOXOの機能解析を行い、白血病幹細胞の分化が解糖系をはじめとした代謝制御と深く関連していることを見出した。しかしながら、その未分化性維持機構の詳細は明らかにされていない。そこで、我々は①FOXO経路に対象に白血病幹細胞の未分化維持因子の特定を進めるとともに、②すべての代謝酵素、トランスポーターを対象にスクリーニングを行い、代謝による未分化維持機構の解析を行った。 実験①:FOXO下流の因子であるアミノ酸トランスポーターファミリーを遺伝子破壊すると、増殖速度は低下し、分化マーカー陽性の細胞が増加したが、形態学的な変化は観察されなかった。また、エネルギー代謝の重要な制御分子として知られているMycファミリー分子も同様に、遺伝子破壊による分化誘導は確認できなかった。 実験②:AML細胞株(HL60)にsgRNAライブラリーを導入した後、分化表面マーカー(CD11b)陽性細胞集団をFACSにてソーティングし、CD11b陽性細胞集団で濃縮されたsgRNAを同定することで、未分化維持に寄与する遺伝子を網羅的に探索した。そのスクリーニングのhit遺伝子には、既に未分化維持因子として知られている「鉄」の代謝酵素及びその上流因子が含まれていた。従って、スクリーニング系が機能していること、鉄の代謝経路が特にAMLの未分化維持に重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代謝酵素、トランスポーターを対象としたsgRNAライブラーを構築し、未分化維持因子の同定に向けたスクリーニングはすで完了している。さらに、未分化維持因子を複数同定し、鉄を中心とする代謝経路が特にAMLの未分化維持に重要であることを明らかした。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄経路によるAMLの未分化維持機構を同定するために、未分化維持に寄与する鉄の下流の転写因子を探索する。また、AMLの未分化維持機構のさらなる解明に向けて、スクリーニングで同定した各遺伝子に対するsgRNAを作成し、鉄経路以外の未分化因子の同定を行う。
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Research Products
(2 results)