2020 Fiscal Year Annual Research Report
STAPファミリー蛋白によるBcr-Abl分子活性化機構の解明とその治療的応用
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19K17829
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸田 淳 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90770834)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CML / CML幹細胞 / STAP蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、CML幹細胞でSTAP-1の発現が上昇することは2つのgene expression databaseで報告されている。私はまず実際に患者検体でSTAP-1の発現を確認した。 その結果、ヒトCML幹細胞(CD34+, CD38-)においてSTAP-1の発現が分化した分画に比べ上昇していることを確認し、さらに正常幹細胞よりCML幹細胞において発現が上昇することを確認した。 次にマウスでの実験を行った。野生型CMLマウスに比べ、STAP-1欠損CMLマウスでは有意に生存が延長した。STAP-1欠損CMLマウスの解析を行ったところ、CML幹細胞の数が有意に低下していることが判明した。Annexin染色ではSTAP-1欠損のCML幹細胞でアポトーシスが亢進していることがわかった。つまり、STAP-1がCML幹細胞においてアポトーシスを抑制させることで生存に寄与していると考えられた。 CML幹細胞を用いたRNA sequenceも行ったところ、STAP-1がSTAT5のリン酸化に関わっていること、その結果Bcl-2, Bcl-xlといた抗アポトーシス因子の発現を調整していることがわかった。これらのデータはSTAP-1がCML幹細胞の維持に重要な分子であることを示している。本研究において、STAP-1を介したシグナル伝達が、幹細胞をターゲットとした治療標的の一つとして新たに同定された。これらの結果は論文に報告した(Toda J, et al. Oncogene. 2020 Aug;39(34):5601-5615.)。
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Research Products
(2 results)