2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a new model for human colorectal cancers
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19K17831
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
磯部 大地 九州大学, 大学病院, 医員 (30838727)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 染色体異常 / 大腸がん / 発がん / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸がんは多様な生物学的特徴を持つ疾患であり、発がんの原因となるゲノム不安定性(genomic instability)も症例毎に異なる。左側結腸直腸がんで認められるゲノム不安定性の多くは染色体不安定性(chromosomal instability; CIN)である。大腸がんで高頻度に認められる染色体異常が、大腸発がんの直接的な原因となっていることを示すため、正常大腸細胞にそれらの染色体異常を導入し、解析に用いることが望ましい。しかしながらヒト初代正常細胞に染色体を導入することは困難である。そこで本研究では、予め染色体異常を導入したヒト多能性幹細胞から分化させた大腸細胞を解析に用いることで、細胞形質への染色体異常の持つ直接的な影響が観察可能とし、染色体異常による大腸発がんメカニズムの解明を目的とする。 東京大学医学研究所ステムセルバンク、理化学研究所バイオリソース研究センターよりそれぞれヒトiPS細胞を複数種譲渡頂いた。ラミニンコートした培養皿上で、iPS細胞をActivin Aを用いて原始内胚葉へと分化誘導した。さらに線維芽細胞増殖因子(FGF)とWntシグナル刺激(GSK阻害薬)により、原始内胚葉から中腸・後腸細胞へと分化できたことを、中腸・後腸で特異的に発現するCDX2の発現を免疫染色により確認した。中腸・後腸細胞塊をマトリゲルに埋め込み、上皮細胞増殖因子(EGF)で刺激しながら数週間培養することで、内腔を有する大腸オルガノイドを形成できたことを、本研究室で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米国の研究所において、ヒト多能性幹細胞からの小腸分化法については研究代表者は既に行っていた。本研究室でも当該の実験系を立ち上げから開始し、大腸分化法を用いることにより形態学的に大腸オルガノイド形成が達成できた。 次年度に予定している染色体異常を導入したヒト大腸細胞形質の解析への準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、数種のヒトiPS細胞からの大腸オルガノイド分化の更なる安定化・最適化を検討中である。さらに免疫不全マウスへの移植を行い、オルガノイドがヒト大腸を模した組織を構築することを確認する。 共同研究先である鳥取大学染色体工学センターで、大腸がんで高頻度に認められる染色体異常の導入が進行中である。目的のiPS細胞クローンが得られたのちに、当研究室で大腸へと分化させ、形態・遺伝子発現・エピゲノムなどの形質変化を解析予定である。
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Causes of Carryover |
小さな額であり、購入できる試薬等がなかったため。 繰越したものを次年度分と合算し、研究に必要な試薬等の購入費に当てる予定である。
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Research Products
(2 results)