2019 Fiscal Year Research-status Report
代謝経路依存性タンパク修飾を標的とした新規白血病治療法の開発
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19K17833
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森嶋 達也 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任助教 (40421375)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タンパク質アセチル化 / LMO2 / T-ALL / NAMPT / Sirtuin |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の機能調節機構の一つであるアセチル化を標的とした治療戦略は白血病に対する新たな治療法として魅力的であるが、その研究はあまり進んでいない。LMO2タンパクは正常血液の形成に不可欠な役割を果たす一方、その異常は T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)の発症に関与している。正常血液の形成においてNAMPT・SIRT2経路を介したアセチル化の除去がLMO2タンパクを活性化するという申請者が得た新たな知見をもとに、本研究ではNAMPT・SIRT2経路の阻害薬がT-ALLに対して治療効果をもつかを検討する。ここから得られる成果はT-ALLに対する画期的な治療法の開発につながることが期待される。 LMO2タンパクを発現するT-ALL細胞株およびT-ALL患者細胞の試験管内培養および同細胞をゼブラフィッシュ及び免疫不全マウスに移植したモデル動物を用いた実験によって、 NAMPT阻害剤・SIRT2阻害剤が細胞増殖抑制効果を示すことが明らかになった。 分子メカニズムの評価についても、これらの阻害剤によりLMO2タンパクのアセチル化、LMO2-LDB1タンパク結合の阻害およびLMO2・LDB1を含むTAL1複合体の標的遺伝子の発現低下がみられることが確認された。また、RNAシークエンスによりLMO2タンパクのアセチル化により発現が変化する遺伝子を同定した。 LMO2の野生型およびアセチル化部位変異体タンパクを過剰発現させた細胞株を用いたレスキュー実験では上記のNAMPT阻害剤・SIRT2阻害剤による細胞増殖抑制効果および分子生物学的変化はLMO2タンパクのアセチル化依存性であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で1年目に計画していたNAMPT・SIRT2阻害剤による抗腫瘍効果の確認実験は全て終えることができ、その分子メカニズムの解析についても一部進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定を前倒しして上記内容にて論文投稿を行った。今後はこれまでの研究で得られた知見をさらに発展させ、NAMPT・SIRT経路によるタンパク質のアセチル化がT-ALL以外にも造血において役割を果たしているのではないかという視点で研究を行う。特にヒト造血幹細胞の同定に使われるCD38という分子がNAD+を代謝する酵素であることに注目し、NAMPT・SIRT経路が造血幹細胞の維持・増殖に関与しているのではないか、また同経路を調節することによって現時点で方法が確立されていないヒト造血幹細胞の試験管内維持・増幅培養が可能になるのではないかという仮説をもとに研究を進めていく。また、代謝関連白血病としてIDH遺伝子変異白血病の研究にも取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
費用のかかるシングルセル解析を予定していたが、予定を変更して実施しなかったため。次年度は造血幹細胞・白血病細胞の培養とその解析等に費用を投入していく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] LMO2 activation by deacetylation is indispensable for hematopoiesis and T-ALL leukemogenesis.2019
Author(s)
Morishima T*, Krahl AC, Nasri M, Xu Y, Aghaallaei N, Findik B, Klimiankou M, Ritter M, Hartmann MD, Gloeckner CJ, Stefanczyk S, Lindner C, Oswald B, Bernhard R, Haehnel K, Hermanutz-Klein U, Ebinger M, Handgretinger R, Casadei N, Welte K, Andre M, Mueller P, Bajoghli B, Skokowa J*. (*corresponding authors)
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Journal Title
Blood
Volume: 134(14)
Pages: 1159-1175
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] LMO2 activation by NAMPT-NAD+-SIRT2 pathway mediated deacetylation is indispensable for early hematopoiesis and T-ALL leukemogenesis2019
Author(s)
Morishima T, Krahl AC, Xu Y, Aghaallaei N, Nasri M, Klimiankou M, Ritter M, Hartmann MD, Findik B, Stefanczyk S, Lindner C, Oswald B, Bernhard R, Haehnel K, Hermanutz-Klein U, Kanz L, Bajoghli B, Andre M, Mueller P, Welte K, Skokowa J
Organizer
第17回幹細胞シンポジウム
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