2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K17834
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
上運天 綾子 宮崎大学, 医学部, 医員 (30800750)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MPN / ET / primary myelofibrosis / CALR / EZH / TET2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は本態性血小板血症(ET)および原発性骨髄線維症(PMF)において高頻度にみられるCALR変異のトランスジェニック(TG)マウスを用いて、①ETとPMFにおけるエピゲノム異常の役割、② ETとPMFの白血病への急性転化に対するエピゲノム異常の役割を明らかにするものである。 我々はETを発症するCALR変異マウスと血球細胞特異的EZH2欠損マウスを交配し、CALR変異/EZH2欠損マウスを作成し、表現型の解析を行った。CALR変異マウス、CALR変異/EZH2欠損マウスは共に早期よりETの発症を認めた。約1年間の観察では、CALR変異マウス、CALR変異/EZH2欠損マウス共に、脾腫、骨髄や脾臓の線維化、白血病の自然発症などの病態進展を認めず、生命予後にも差を認めなかった。CALR変異マウス骨髄では野生型マウスと比較して造血前駆細胞分画の増加が認められる。CALR/EZH2二重変異マウスについても同様に増加が認められ、その程度に違いは認められなかった。 JAK2変異/EZH2欠損マウスでは、EZH2欠損により骨髄線維化の進展に関与するHmga2を含むPRC2標的遺伝子の活性化がもたらされ、MFの発症が促進され、生存が短縮される(Sashida et al. JEM 2016)。我々は今回、CALR変異に対してEZH2欠損が生じてもMFへの進展が誘導されないことを示し、ドライバー遺伝子の種類によって、EZH2欠損の与える影響は異なることを明らかにした。 CALR変異陽性の骨髄増殖性腫瘍患者におけるEZH欠損には、線維化の進展因子ではない、他の意義がある可能性がある。現在、造血幹細胞の機能や、白血病誘導刺激に対する白血病発症感受性について、CALR変異マウスとCALR変異/EZH欠損マウスの比較解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はCALR変異、EZH2変異、CALR/EZH2二重変異、TET2変異、CALR/TET2二重変異を有するマウスモデルを確立し、長期観察を行った。CALR変異、CALR /EZH2二重変異マウスでは野生型と比べ血小板の増加と骨髄中の巨核球数の増加などETの所見を認めたが、いずれも骨髄や脾臓の線維化は認められず、白血病の自然発生も認められなかった。JAK2変異マウスと異なり、CALR変異マウスではEZH2の異常は骨髄の線維化に影響を与えていないことが確認され、EZH2変異はドライバー遺伝子変異の種類により異なる影響を及ぼす可能性が示唆された。現在、CALR変異におけるEZH2変異の造血幹細胞に及ぼす役割を解析するため、競合移植実験を行っており、現在解析中である。 また、CALR/TET2二重変異マウスを作成し、現在長期観察を行っている。以上より研究はおおむね順調に進行していると考えられる。 。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマ① ETとPMFにおけるエピゲノム異常の役割 EZH2変異マウス、CALR変異マウス、CALR/EZH2二重変異マウスにおいて競合移植実験を行い、遺伝子変異が造血幹細胞に及ぼす影響をマイクロアレイやRNAseqによる遺伝子発現解析等を用いて明らかにする。また、CALR変異/TET2二重変異マウスにおける表現型の解析を行い、責任経路を明らかにする予定である。
テーマ②ETとPMFの白血病への急性転化に対するエピゲノム異常の役割 CALR変異マウス、CALR/EZH2二重変異マウス、TET2変異マウス、CALR/TET2二重変異マウスに白血病誘発薬剤を投与し、白血病発症の頻度や発症までの時間、白血病の性質に差を認めるかを明らかにする。白血病を発症した場合、白血病細胞のエクソーム解析を行い、新たに生じた遺伝子変異がエピゲノム異常によって違いがあるのかを明らかにし、MPNから急性転化する際の分子病態を明らかにする予定である。
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