2020 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄県における成人T細胞白血病/リンパ腫のゲノム解析
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19K17835
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
崎浜 秀悟 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30835129)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL) / ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1) / tax遺伝子型 / PRDM1両アレル異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)はヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)が原因となって発症する悪性腫瘍である。近年、大規模なゲノム解析により、ATLにおける遺伝子異常の全貌が明らかにされつつある。一方、ATLにおいて変異が高頻度に起こる遺伝子の顔ぶれには、日本人とアメリカ人で差違があったことが報告されているが、その詳細な背景は明らかではない。そこで本研究では、ATLにおける遺伝子変異の地域差にHTLV-1のウイルスタイプ(tax遺伝子型)の違いが関わっているとの仮説を立て、検証を行った。沖縄県におけるATL患者を対象とし、全89例の遺伝子異常を網羅的に解析した。異常が起こっていた遺伝子の顔ぶれは、日本本土で行われた過去の解析の結果と概ね一致し、TCR/NF-κB経路に関連する分子に集積していた。一方で、一部の遺伝子の変異頻度は、沖縄県の症例と日本本土およびアメリカからの過去の報告との間で異なっていた。その中でも特に、GATA3およびRHOA遺伝子の変異は日本本土と比較して沖縄県の症例に多く検出されるとともに、沖縄県に多いtaxA型のHTLV-1に感染した症例に偏っており、tax遺伝子型の違いが変異頻度の差に寄与している可能性が示唆された。 過去に日本で行われたATLに対するゲノム解析には、沖縄県における患者の検体は含まれていなかった。そこで、我々は遺伝子異常の詳細や、遺伝子異常と予後との関連について解析を行なった。過去の報告と一致して、PRKCB変異が予後不良と関連していた。本研究においてはPRDM1両アレル異常と予後不良との関連が示唆され、変異およびコピー数異常を合わせて解析する重要性が示された。
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[Journal Article] Genetic profile of adult T-cell leukemia/lymphoma in Okinawa: Association with prognosis, ethnicity, and HTLV-1 strains2021
Author(s)
Shugo Sakihama, Kazuho Morichika, Rumiko Saito, Megumi Miyara, Takashi Miyagi, Masaki Hayashi, Junnosuke Uchihara, Takeaki Tomoyose, Kazuiku Ohshiro, Shingo Nakayama, Sawako Nakachi, Satoko Morishima, Kazuko Sakai, Kazuto Nishio, Hiroaki Masuzaki, Takuya Fukushima, Kennosuke Karube
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Journal Title
Cancer Science
Volume: 112
Pages: 1300-1309
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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