2022 Fiscal Year Annual Research Report
DOT1L阻害による多発性骨髄腫の新規治療法の開発
Project/Area Number |
19K17836
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
石黒 一也 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90784439)
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Project Period (FY) |
2021-11-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫は予後不良な疾患であり、新規治療薬の探索が必要である。ヒストンメチル化修飾の異常は様々ながんの発生や進展に関与するが、多発性骨髄腫における知見は十分ではない。我々はヒストンメチル化酵素であるDOT1Lの阻害が、IRF4-MYCシグナルを抑制することで骨髄腫細胞の増殖を抑制することを明らかにした。本研究はDOT1L阻害の作用機序をさらに解明し、臨床応用につなげることを目指した。 我々はまず、多発性骨髄腫において、DOT1Lの阻害が免疫反応を上昇させることに着目した。理由としては、近年多発性骨髄腫において、thalidomide、lenalidomide、pomalidomideといった免疫調節薬やelotuzumab、daratumumab、isatuximabといった抗体製剤など、免疫を標的とした治療が主流であり、一定の治療効果を示しているからである。 我々はDOT1Lの阻害が免疫反応を上昇させる機序の一つとして、内在性レトロウイルス遺伝子の再活性化を見出した。また他のヒストンメチル化修飾にも着目し、ヒストンH3リジン27メチル化酵素(EZH2)とヒストンH3リジン9メチル化酵素(G9a)の共阻害も免疫反応を上昇させることを見出した。さらに解析を進めたところ、EZH2とG9aを共阻害することで、骨髄腫細胞の内在性レトロウイルス遺伝子を再活性化し、その結果、インターフェロンシグナルが活性化され、抗腫瘍効果につながることを明らかにし、論文化した。 一方でDOT1Lの阻害に関しても、免疫反応の上昇により抗原提示や免疫治療の効果を増強することを見出した。近日中にこれらの成果を学術雑誌に投稿する予定である。
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