2019 Fiscal Year Research-status Report
悪性リンパ腫における非コードRNA PVT1とPVT1内miRの役割解明
Project/Area Number |
19K17839
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
細井 裕樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00646036)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PVT1 / 8q24転座 / long non-coding RNA / micro RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
8q24転座を有する悪性リンパ腫の中には極めて予後不良な疾患群があり、申請者は発症機序解明のため症例から細胞株を樹立し8q24転座点がガン遺伝子MYCの下流にあるPVT1内に存在することを確かめた。PVT1はlong non-coding RNAであり、腫瘍化におけるPVT1の役割は不明である。本研究では悪性リンパ腫発症におけるPVT1領域の役割を明らかにし、新規治療へつなげることを目的としている。申請者はこれまでに転座点近傍のmicro RNA (miR)が悪性リンパ腫発症に関係する例を報告しており、PVT1内にあるmiRに着目した。そのため、本研究ではまず8q24転座点とPVT1、PVT1内miR発現の関連性について解析し、悪性リンパ腫細胞株でPVT1とPVT1内miR発現亢進・阻害効果を検討することを計画した。 令和元年度は8q24転座を有する複数の細胞株を用いてMYC、PVT1内miR発現を検討した。PVT1内に転座点を有する細胞株ではMYC近傍に転座点を有する細胞株よりMYC発現が高い傾向にあった。ただ、各細胞株における転座相手の免疫グロブリンの相違が影響している可能性もあり、転座相手の違いによるMYC発現の影響について今後検討が必要である。次に、各細胞株におけるPVT1内miRの発現を検討した。転座点の物理的位置と転座点前後のmiR発現量に明らかな関係性は認められなかった。PVT1内に転座点を有する細胞株ではMYC発現が亢進していたため、JQ1によりMYC発現を低下させ細胞増殖変化を検討した。8q24転座点を有するいずれの細胞株においてもJQ1により細胞増殖抑制効果がみられた。その際、MYC発現のみでなくPVT1 5'発現も低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は8q24転座を有する複数の細胞株を用いてMYC、PVT1内miR発現を検討した。また、JQ1によりMYC発現を抑制すると、PVT1 5'発現も低下し、細胞増殖が抑制されることを明らかにした。PVT1内miR発現量は極めて低いものもあり再検討を予定しているが、一通りのMYC、PVT1内miR発現を検討できたため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
JQ1により良好な細胞増殖抑制効果がみられたが、その際にMYCのみでなくPVT1 5'発現も低下していた。令和二年度はこの領域の役割に焦点をあてて解析を進める。PVT1内または周辺で8q24転座点を有する悪性リンパ腫細胞増殖について重要な遺伝子領域を明らかにし、同部位阻害による腫瘍抑制効果をpatient derived xenograft modelで確認する。
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