2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞から長期移植能をもつ造血幹細胞への転写ネットワークの解明
Project/Area Number |
19K17857
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉村 竜一 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (00831653)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 血液 / 分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画では、当該若手研究者の今までの成果を生かし、研究開発提案課題の うち、血球分化系の改良とその疾患解析への応用に取り込んだ。造血幹細胞移植は白血病をはじめとする腫瘍や血液・免疫疾患に対する有効な治療法で あるが、ドナー不足と拒絶反応が課題である。iPS細胞から造血幹細胞を誘導 することで、血液・免疫疾患の治療に貢献できると考えられる。近年、当該若手研究者により造血幹細胞の誘導に必須の転写因子の組み合わせが同定されたが、安定した長期造血幹細胞の誘導はいまだ課題であり、効率的な誘導方法の開発が必要である。本研究では、機能的な血液細胞の効率的な誘導方法を開発し、分化異常の解析や疾患関連表現型を忠実に再現する細胞を導出する。これによって、疾患iPS細胞を用いた血液免疫疾患研究を推進する基盤を構築することを目標とする。当該若手研究者は研究指導者と共同で血球分化法に関連した特許を出願し、iPS細胞からスフェロイドを作成することで効率よく血球分化誘導を行う方法を共同研究者とともに論文化し出版した。当該若手研究者は造血幹細胞および前駆細胞の発生における分子メカニズムの理解に基づき、移植治療 応用へむけた血球細胞をヒトiPS細胞から誘導するために、共同研究者とともに多層マイクロ流体デバイスを用いて大動脈ゴナド中腎(AGM)領域で造血発生プロセスをオンチップで再現、解析する技術を確立した。 AGMチップ上でヒトiPS細胞からの造血発生をエミュレートすることで分子メカニズムを理解すると期待される。AGMチップはiPS細胞由来の造血性内皮細胞から血球への移行(EHT)を効率的に導いた。また当該若手研究者の所属研究室で樹立された間葉系間質細胞とヒト臍帯内皮細胞を加えることで AGMチップ上での血球産生を促進した。これら結果は論文投稿され、先日アクセプトされた。
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Research Products
(1 results)