2019 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞を用いたインターフェロンの腫瘍幹細胞に対する抗腫瘍作用機序の解明
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19K17871
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
枝廣 陽子 順天堂大学, 医学部, 助教 (40732863)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨髄増殖性腫瘍 / JAK2V617F変異 / iPS細胞 / インターフェロン |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms: MPN)は、JAK2V617F変異に代表される体細胞変異が、造血幹細胞に生じることで発症する造血器腫瘍である。近年、一部のMPN患者ではインターフェロン-α(IFN-α)により、分子生物学的寛解が得られることが明らかになってきた。しかし、なぜIFN-αによって分子生物学的寛解が得られるのか、すなわちドライバー遺伝子変異JAK2V617Fを有する腫瘍幹細胞がなぜ消滅するのか、その明確な機序は未だ明らかでない。そこで、本研究では、MPN患者由来iPS細胞で構築した試験管内MPN発症モデルを用いて、IFN-αの奏功する患者の特定やより有効な治療戦略の開発に必要な、IFN-αによる腫瘍幹細胞に対する抗腫瘍作用機序を解明することを目的とした。 2019年度は、JAK2V617F変異を持つMPN患者からJAK2V617Fホモ型のiPS細胞を樹立した。これまでに申請者らはCALR遺伝子変異を有するMPN患者からiPS細胞を樹立していることから(Br J Haematol 2018;181:791-802)、同様の手法を用い、樹立に成功した。その後CRISPR/Cas9ゲノム編集により、JAK2V617F変異を修正した野生型のiPS細胞を樹立した。JAK2変異の解析には、当研究室独自のJAK2V617F検出方法ABC-PCR法(Leuk Res 2011;35:1632-36)を用い、Sangerシークエンス法によって最終確認を行った。 続いて、樹立したiPS細胞の機能解析を行った。iPS細胞の分化誘導を行い、JAK2V617Fを有するiPS細胞由来の血球前駆細胞では、MPN患者と同様に、EPO非存在下でも赤芽球系コロニーを形成することを示し、試験管内MPNモデルの構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の目標は、JAK2V617F変異を有する患者由来のiPS細胞の樹立を行い、ゲノム編集により、JAK2V617Fヘテロ型、野生型のiPS細胞も樹立することであった。JAK2V617Fヘテロ型のiPS細胞は樹立できなかったものの、ホモ型、野生型のiPS細胞の樹立に成功し、またそれらの細胞の機能解析を行い、MPN患者と同様の特徴を有することを示せたことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に樹立したiPS細胞の培養液にインターフェロン-αを添加し、腫瘍幹細胞の増殖、アポトーシス、血球分化などに生じるインターフェロン-αの影響を明らかにする。具体的には、細胞増殖の評価はコロニー形成によって評価し、アポトーシス誘導についてはAnexinⅤを用いたフローサイトメトリー、血球分化についてはコロニー形成や血球分化マーカーのフローサイトメトリー解析を行うことで明らかにする。
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Causes of Carryover |
3種類のiPS細胞を樹立予定であったが、2種類のみ樹立したため、培地・サイトカインなどの必要量が減少し、経費の一部を次年度に使用予定とした。 次年度、樹立したiPS細胞の機能解析のための抗体、プラスチック製品などに用いる予定である。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] 変異型CALRはMPLと分泌経路で相互作用し細胞表面で活性化を引き起こす2019
Author(s)
増渕 菜弥, 荒木 真理人, 楊 印杰, 林 英里奈, 今井 美沙, 枝廣 陽子, 弘中 由美, 水上 喜久, 木原 慶彦, 小池 正人, 大坂 顯通, 小松 則夫
Organizer
第81回日本血液学会学術集会
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[Presentation] 分泌経路における変異型分子シャペロンとサイトカイン受容体の会合による細胞の腫瘍化2019
Author(s)
増渕 菜弥, 荒木 真理人, 木原 慶彦, 楊 印杰, 今井 美沙, 水上 喜久, 林 英里奈, 弘中 由美, 竹井 拓, 枝廣 陽子, 大坂 顯通, 小松 則夫
Organizer
第29回日本サイトメトリー学会学術集会
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