2020 Fiscal Year Research-status Report
急性骨髄性白血病におけるRAS経路関連遺伝子の意義
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19K17873
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
由井 俊輔 日本医科大学, 医学部, 助教 (30740542)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | AML / 正常核型 / RAS経路関連遺伝子 / 予後因子 / NPM1 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性骨髄性白血病(AML)の計1400症例について遺伝子解析をシーケンサーで行った。さらに、mutation testerで既存の報告と照らし合わせ、遺伝子変異の有無の判定を済ませた。臨床データの入力も完了し、解析を行っているところである。正常核型のAMLについて、RAS経路のN-RAS, K-RAS, PTPN11, NF1, H-RAS, CBLについて予後指標となるのかを検討しているところである。RAS経路の遺伝子変異はFLT3-ITD遺伝子変異と排他的であり、NPM1遺伝子変異と重複しやすいことから、正常核型でFLT3-ITD遺伝子変異陰性NPM1遺伝子変異陽性症例における予後因子になっている可能性が高いと考えている。さらには、DNMT3A,IDH1/IDH2やTET2,BCORTET2,BCORがこれらRAS経路に関与して予後を決めている可能性がありそうである。さらに詳細の解析を進め、論文での報告の準備をしている。 同時に、細胞実験を進めている。上記の臨床的な解析を進めたところ、N-RASやK-RAS変異が陽性で、NPM1変異が陽性な症例は、第2エクソンの第12コドン集中していた。このことから、N-RAS(G12D)とK-RAS(G12D)をIL3依存性マウス細胞株である32DcとBa/F3(RCB0805)細胞に導入することとした。まずは、この両者でRNAシーケンスを行って解析を進める予定であり、現在NRAS,KRAS用のレトロウイルス作成用のプラスミドを作成した段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例数が1400例と膨大であったことから、臨床データの入力と、mutation testerを使った遺伝子変異の判定に想定した以上に時間がかかってしまった。さらには、新型コロナの影響で、細胞実験や動物実験が一時期中断していたことから、予定していたことが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床的な解析をRAS経路の遺伝子ごとに詳細に検討中であるが、N-RAS変異、K-RAS変異やPTPN11変異が存在する症例に、追加でNPM1変異があると予後が良好な傾向にあり、NF1やH-RAS、CBLとの違いがどこにあるのかを究明したい。さらには、なぜNPM1変異がこれらのRAS経路の遺伝子に関与しているのかを究明したい。 そこで、まずはN-RAS(G12D)とK-RAS(G12D)をIL3依存性マウス細胞株である32DcとBa/F3(RCB0805)細胞に導入し、まずはこの両者でRNAシーケンスを行うこととした。 その後、さらにはN-RAS(Q61H)、PTPN11を導入したり、これらの細胞にNPM1変異を追加で導入して順を追ってRNAシーケンスを行う方針である。 これらが予定通り進めば、ヌードマウスを使って腫瘍の形成能、増殖率をみていく予定である。
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Causes of Carryover |
細胞実験と動物実験を昨年度に進める予定であったが、新型コロナの影響で研究施設の使用や物品確保が一時出来なかったことから、現時点でNRAS,KRAS用のレトロウイルス作成用のプラスミドを作成するまでにとどまっている。その分繰越金が発生してしまったが、研究が進み始めたところであり、今年度中に計画を進めていくことが出来そうである。
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