2019 Fiscal Year Research-status Report
DNAメチル化制御の異常がもたらす骨髄増殖性腫瘍の機能解明
Project/Area Number |
19K17876
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮井 優里奈 (宮島優里奈) 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, リサーチアソシエイト (70838218)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨髄増殖性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)TET2欠損マウスの作製およびTET2欠損マウスを用いた骨髄増殖性腫瘍発症までの分子・細胞動態の観察 TET2欠損マウスのCRISPR/Cas9法による作製および、血球系細胞で特異的にTet2を欠損するTet2flox/flox Vav1-iCreマウスの作製を行なった。それぞれのマウスを用いて骨髄から単離した細胞をフローサイトメトリーにより解析すると、加齢性に顆粒球や骨髄系列の細胞種およびその前駆細胞の増加が認められた。さらに、TET2欠損マウスは16週齢頃から顕著な脾臓増大が認められたことから、TET2欠損によるDNAメチル化異常を伴う骨髄増殖性腫瘍のマウスモデルとして評価できると考えられた。
2)トランスクリプトーム解析による疾患関連因子の探索 当初の計画通り、作製したTET2欠損マウス由来の骨髄系列の各細胞腫を用いたトランスクリプトーム解析を行った。野生型マウスおよびTET2欠損マウスの骨髄中のLSK、CMP、GMP、MEPなどの前駆細胞をセルソーターにより分取し、RNAシークエンス解析を用いてTET2欠損による発現変動を認める因子を抽出した。その結果、GMPやMEPで発現変動が認められた遺伝子と骨髄増殖性腫瘍の病態との関連が認められた。現在これらの因子の詳細な作用機序に関して精査を進めている。さらに、セルソーターにより単離した各前駆細胞を用いたメチローム解析や、in vitroでの培養実験、骨組織および血球系細胞の組織学的解析に向けた条件検討も順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、トランスクリプトーム解析によって見出した疾患関連因子の骨髄増殖性腫瘍の病態への寄与を明らかにすることを目標としている。当初の計画通りRNAシークエンス解析によって疾患関連因子を同定し、現在はその遺伝発現制御機構を解明するためのメチローム解析の条件検討を行なっている。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
メチローム解析の条件検討が終了次第、作製したマウスを用いて標的細胞を単離し、Methylシークエンス解析を行う予定である。さらに、同定した疾患関連因子が骨髄増殖性腫瘍の病態である、骨髄繊維化や骨髄不全、および骨髄系細胞の増殖にどのように関与するのかを調べるために、フローサイトメトリーや組織学的解析によって分子・細胞動態の詳細な観察を進める。
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Causes of Carryover |
購入予定の試薬の調達が間に合わなかったため、次年度使用額が生じた。購入できなかった試薬を翌年度に購入するため、物品費として計上する。
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