2019 Fiscal Year Research-status Report
SLEの増悪に寄与する患者由来膜小胞の性状解析を基盤としたSLEの病態解明
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19K17885
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 保宏 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (30837050)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | SLE / Type I IFN |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデス(SLE)は全身の臓器を侵す、若年女性に好発する難治性の自己免疫疾患である。治療にはステロイドや免疫抑制剤が用いられるが、これらの治療では感染症や骨粗鬆症などの副作用によるQOLの低下が問題となる。より副作用が少ない治療法を開発するためにもSLEの病態生理の詳細な理解が求められている。申請者はすでにSLE患者血清中に存在するapoptosis derived membrane vesicles (AdMVs)が、細胞内に存在するDNAセンサーであるcGAS-STING経路を介して、SLEの病態形成に特に重要なtype-I IFN(IFN-I)を誘導することを報告している。本研究では、AdMVsを構成する成分やAdMVsに含まれているdsDNAの特徴や性質を解明し、IFN-Iを産生する分子メカニズムの解明を行う。さらに、IFN-I誘導因子として同定された分子が、病勢のバイオマーカーとして臨床応用可能となるかを明らかにすることを目指す。この目的のためにはIFN-I誘導活性が強い血清サンプルが必要となる。そのため、まずは当施設で保管されている患者血清サンプルを用いて、血清によるIFN-I誘導活性のスクリーニングを行った。一部のサンプルでIFN-I誘導活性が高いことが再確認できているが、AdMVsの詳細な解析を行うために十分なサンプル数が確保できず、現在症例を集積中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
IFN-I誘導活性が強い、活動性のあるSLE患者サンプルが十分な数集まっていない。また、COVID-19の流行に伴い、診療規模の縮小及び実験の一時停止があり遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19による緊急事態宣言が解除され、大学でにの研究が再開され次第、研究を推進する。 IFN-I誘導活性が強いサンプルが集積できれば、血清に含有されるAdMVsについて、動的散乱光法により粒子径を測定し、内部コントロールビーズを利用したFACSでAdMVsの定量化(粒子数)について測定する。また、AdMVsをTriton Xなどの界面活性剤で処理し、DNA結合beadsを用いてDNAを回収し、DNAに直接結合しているタンパク質についても分析する。AdMVsに含まれているDNAのフラグメントサイズについてもマイクロチップ電気泳動装置で用いた測定を行う。得られた実験データを電子カルテから得られた臨床情報と一緒に解析し、臨床上の特徴とAdMVsおよびAdMVs中のdsDNAの特徴との関連を検討する。AdMVsのIFN-I誘導活性の違いを比較することで、膜タンパク成分のうちでIFN-I活性の指標となる可能性のあるタンパクについてELISA法などによる簡便な測定系を樹立し、新規バイオマーカーとしての有用性を検討する。また、末梢血単核球や好中球に対して紫外線照射、薬剤などでapoptosisを誘導した際に、患者末梢血清中で得られたAdMVsと同様の性質をもつAdMVsが産生されるのか、患者血球と健康人血球で比較検討する。
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Causes of Carryover |
サンプルの収集に時間がかかり、実験計画が遅延しております。今年度予定していた実験を次年度に行う予定です。
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