2022 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫疾患におけるMEFV遺伝子変異の病態修飾に関する研究
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19K17888
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
遠藤 友志郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (10831571)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 家族性地中海熱 / 遺伝性自己炎症性疾患 / 全身性エリテマトーデス / 自己免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
CRISPER-Cas9を用いて遺伝設計を行い、全身性エリテマトーデス(SLE)のモデルマウスとして知られるMRL/lprマウスへのMEFV exon 2 E148Q hetero多型のKnock In(KI)の作製に成功、さらに同マウスの継代を重ねることでE148Q KIマウス(MEFV E148Q KI MRL/lpr mice)の作製に成功した。また、コントロールとしてpoint mutationを伴わない同部位のMEFV exon 2をKIさせたMRL/lprマウスも作製し、体重変動や生存率、蛋白尿や自己抗体価の推移といった臨床評価、腎臓や皮膚などの組織学的評価、フローサイトメトリーによるB細胞やT細胞、単球等の細胞発現の評価、培養実験によるインフラマソーム活性化の評価を実行した。腎炎の組織学的な重症度判定では、5匹ずつの比較で明らかな有意差はないものの、MEFV E148Q KI MRL/lpr miceで腎炎が軽減する傾向が見られたため、今後数を増やし、さらに検討を行う予定である。また、自己抗体価やメモリーBcellの割合も有意にMEFV E148Q KI MRL/lpr miceで低下しており、この点は腎炎の軽減との一貫性が見られる。また、マウスモデルと一致して、SLE患者検体を用いたMEFVの解析に関しては、MEFV多型が存在することで、SLEにおける腎炎の発症が抑制される結果であり、モデルマウスの結果と矛盾なく、MEFV多型はループス腎炎発症には保護的に働くことが示唆された。これらの結果は今後更なる解析を行った後に報告予定である。ただし、MEFV多型の存在による臨床像の違いにおけるその機序の解明のため更なる研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MEFV E148Q KI MRL/lpr マウスと野生型との間でその表現型が異なる傾向がみられ、その結果はSLE患者の遺伝子解析の結果とも一致していることから、MEFV多型の有無により、腎炎発症が有意に抑制されることが示唆され、今後報告予定である。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により追加実験の一部が実施できなかったため、進捗状況としてやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究において、SLE患者では、MEFV多型の有無やその多型の数により、腎炎発症が有意に抑制されることが示唆され、マウス実験においてもこれを反映する結果が得られている。以上の研究結果をまとめ、原稿を作成し英文誌への投稿準備を進めるが、それと並行してMEFV多型の存在による臨床像の違いにおけるその機序の解明のため更なる研究が必要である。
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Causes of Carryover |
今年度は、当初予定していた追加実験の一部が施行できなかった。よって次年度には、今年度に実施出来なかった検討に必要な物品の購入、データマネージメントにかかる費用、報告の際にかかる学会参加費や投稿料・出版料に使用予定である。
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Research Products
(4 results)