2019 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチの病態形成におけるSemaphorin3Gの役割の解明
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19K17902
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田中 繁 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30822051)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / セマフォリン |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチは慢性の破壊性関節炎である。近年、生物学的製剤やシグナル伝達物質をターゲットとした低分子化合物が上市され、その予後は飛躍的に改善しているが、依然として寛解に至らない患者も一定数存在することから、新たな治療ターゲットの創出が求められている。本申請者は新たな治療ターゲットを探索すべく、未治療関節リウマチ患者においてアンカードラッグであるメトトレキサートによる治療前後で末梢血CD4陽性T細胞を採取し、DNAマイクロアレイ法を用いて網羅的に遺伝子発現を比較解析することで、Semaphorin3Gに着目した。Semaphorin3Gは分泌型Semaphorinで主に神経やリンパ管の発生に重要とされているが、免疫系や関節リウマチ病態における役割は不明である。そこで本研究では炎症性関節炎病態におけるSemaphorin3Gの役割を解明することを目的とした。 本年度は主に関節リウマチの実験動物モデルであるコラーゲン誘導性関節炎モデルを作成し、関節炎局所におけるSemaphorin3Gの産生細胞やその受容細胞を同定するとともに、Semaphorin3G欠損マウスにおけるコラーゲン誘導性関節炎モデルを評価した。 マウス関節炎局所においてはSemaphorin3Gの産生は予想とは異なり、小型のCD3陰性細胞によって産生されていることを見出しており、現在その詳細な検討を行っている。 また、Semaphorin3G欠損マウスを用いたコラーゲン誘導性関節炎モデルの解析では、Semaphorin3G欠損マウスは関節炎に抵抗性であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、Semaphorin3G欠損マウスを用いたコラーゲン誘導性関節炎モデル解析を終えており、本年度の計画は順調に進行していると言える。 一方で、当初Semaphorin3Gの産生細胞および受容細胞が当初想定していたものとは異なっていたため、解析対象を変更して研究を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、リコンビナントSemaphorin3Gの精製を終えており、In vitroで細胞刺激実験を行い、次世代シーケンサーなどを用いて網羅的に遺伝子発現を解析する予定である。 さらには自然免疫細胞がSemaphorin3Gの主な受容細胞であると示唆する結果を得ており、抗原感作を必要としないコラーゲン抗体誘導性関節炎を用いてSemaphorin3Gの機能を検討する予定である。 また、ヒト滑膜組織の収集を行っており、必要サンプル数が揃い次第、マウスで観察された事象をヒト検体で検証することを予定する。
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Causes of Carryover |
コラーゲン誘導性関節炎モデルを作成する試薬が節約可能となるプロトコル改変を行ったため、当初見込んだ試薬代が大幅に削減できたため。次年度は別の関節炎モデルを施行することでより正確な結果を得ることを考慮しており、翌年度の予算と合算して使用する予定である。
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